「戸建て中心」の立地では
マンション価格の下落リスクも大
買ってはいけないエリアの特徴をもう一つ挙げるとするならば、戸建て立地になる。戸建てが主流のエリアでは、土地代と建築費が高い分、マンションの方が高価になる場合もある。自宅としてマンションを購入する人は極端に少ないので、価格の下落スピードも速く、注意が必要だ。
それでは、首都圏以外でマンションを購入しても大丈夫な都道府県を挙げておこう。
1位は宮城県で、年間下落率は-1.80%。東北を代表する大都市・仙台市があり、マンション需給がひっ迫しているからである。2位は広島県で-1.81%。政令指定都市の広島市を中心に、資産価値が維持されやすいからだ。
地方都市でも政令指定都市があり、流入人口が多い県は資産価値が総じて高い。例えば、福岡市と北九州市がある福岡県では-2.19%、岡山市を抱える岡山県は-2.28%、名古屋市のある愛知県は-2.31%と、比較的資産価値が維持されやすい。札幌市は-2.40%だが、北海道全域では-2.60%となる。
新築・中古マンションの適正価格を、一般の方でも大まかに把握する方法を説明しよう。物件検索サイトで、買いたいエリア(駅・市区町村)の中古マンションの事例を調べるのだ。
売り出されている価格は成約(取引)価格より約1割高いので、1割低い価格を算出する。これを面積で割って、単価ベースに直す。築年数ごとにこの単価を並べて、下落率を計算するのだ。
新築物件では1平方メートル当たりの単価が80万円で、築10年の中古物件では60万円なら、10年で20万円、1年で2万円下がっている。この場合は2÷80=2.5%が下落率になる。
築20年・築30年の1平方メートル当たりの単価も計算し、その下落率を算出してみてほしい。これらの下落率は、同じエリアならほぼ一定であり、築20年から急激に下がるといった傾向はない。
例えば、新築~築10年の下落率が2.5%、築10年~20年の下落率が2.8%、築20年~30年の下落率が2.2%なら、この3つを平均して2.5%平均で下がると思ってほぼ間違いない。
マンションの価格形成は立地で決まる。同じエリアなら、このように簡易的に計算できるので試してみてほしい。
「資産性が低いマンションを買っても、売らなければ損しないじゃないか」と考える読者が多いかもしれないが、実はこうしたケースで困るのは離婚したときだ。