東北大学大学院高齢経済社会研究センターは3月15日、東北大学で「eスポーツによる高齢者の健康維持のための実証実験」を行った。70~80代の約15人を対象に、視野の範囲が検査でき、緑内障の早期発見に役立つゲームなどを体験してもらうというもの。

 高齢経済社会研究センターのセンター長・吉田浩氏によると、今回の実証実験では「孫が遊ぶゲームがどんなものかやってみたい」という興味などから実験に参加した人が多かったという。

「今回は、使用許諾を得たプレイステーションソフトの『ぷよぷよ』、オリジナルで作成した『逆じゃんけんゲーム』、隕石(いんせき)撃墜ゲームの『メテオブラスター』(東北大学と仙台放送の共同開発)の三つのゲームと、セルフ視力検査や目の健康に関するビデオ視聴を行ってもらいました」(吉田氏)

『ぷよぷよeスポーツ』という名前のゲームが発売されているように、「ぷよぷよ」はeスポーツイベントの種目として採用されることもあるタイトルだ。

 今回の実証実験の結果、初めてのプレーながら楽しくゲームを遊ぶ高齢者がほとんどで、「健康イベントに楽しく参加してもらう」という目的は達成できたそうだ。また、どのようなゲームジャンルが高齢者に向くのか、目星がついてきたという。

「若い人に人気のシューティングゲームやレーシングゲームなど対戦をメインとしたゲームは、瞬時の判断力を求められるため、高齢者の方にとっては難易度が高く感じてしまうようです。一方で『ぷよぷよ』のような『落ちゲー』や『パズルもの』は、ある程度自分のペースで取り組めるので、高齢者との相性が良さそうです。テンポのゆっくりとした『音ゲー』も、高齢者に耳なじみのある民謡などを題材にすればウケがいいかもしれません」

 動的でスピード感のあるゲームではなく、静的でシンプルな操作のゲームが高齢者に向いているそうだ。ちまたでは「クソゲー」と言われるような、一見すると単調と思われるゲームのほうが高齢者にとっては楽しめるという。

「高齢者向けのゲームを開発するにあたっては、いきなりゴルフレベルの難易度を求めるのではなく、ゲートボールレベルから徐々に難易度を上げていくようにすることが重要だと思っています」