高齢者向けゲームが
もたらす社会的効果

 また、仮想現実(VR)やメタバースなどで話題に上ることの多い「アバター」に関して、高齢者からは好意的に受け止められるのではないか、と吉田氏は語る。

「高齢者の多くは、ネット上で生身の自分をさらすことに強い抵抗感があります。親しみやすい動物や人のアバターで登場すれば、異なる世代とのコミュニケーションも取りやすくなります。アバターの利用が、高齢者のバーチャル空間に入るハードルを低くするのではないでしょうか」

 今の技術では、手を振るといった実際の動作をバーチャル上に反映させるのはさほど難しいことではない。こうした技術を用いたゲームも、高齢者の潜在需要は高そうだ。

「操作が単純で体力をつける動機づけになるような、たとえばアバターを使った全国腕相撲大会みたいなゲームであれば、高齢者でも十分に楽しんでいただけると思います」

 さらに高齢者がコミュニケーション可能なVRゲームが普及することで、効率的な健康管理も可能になるという。

「現在、保健師が高齢者の家を巡回することには大変な労力がかかっていますが、VRゲームが普及することで、バーチャル上で健康に関する相談事の応対が可能になります。また、離れて暮らす高齢の両親・祖父母などが心配な家族は、両親のゲーム履歴から健康状態を把握することができるでしょう」

 ゲームを遊んで健康になる高齢者の姿が常識になる日は、そう遠くはないようだ。