CDから撤退せずに
ストリーミング配信と両立
「コロナ禍で音楽は不要不急と言われたが、魅力あるアーティストを探し、アーティストに選ばれる会社を目指してきた成果」――藤倉尚社長兼CEOは、業績好調な要因についてこう強調した。
2014年1月に46歳の若さで社長に就任した藤倉氏が掲げた戦略が、「デジタルとフィジカル(CDなどの物販)の両軸経営」だ。
この戦略が奏功し22年12月期の売上高は社長就任時の14年12月期に比べ2倍に伸び、シェアも2倍になった。
14年当時の音楽業界といえば、欧米では音楽聞き放題のサービスが登場した頃だ。日本には翌年にApple MusicやLINE MUSICといったサブスクによるストリーミング(インターネットを介した音楽配信)が始まった。まさにデジタル時代の到来だ。
ユニバーサル ミュージックの役員会議でも「日本には必ず欧米の流れが来る。CDはなくなるからストリーミングにシフトした方がいい」という声が大勢だったという。