藤倉氏は「この業界を知らず、グローバル企業のトップから(ユニバーサル ミュージック社長に)来ていたらCDをやめてストリーミングにかじを切ったと思う」と振り返る。
しかし、藤倉氏は邦楽畑を歩み、徳永英明やAI(アイ)らのヒット作を手掛けてきた。現場感覚では急激にCDがなくなるとは思えなかった。
米カリフォルニアの本社(ユニバーサル ミュージック グループ)には「デジタルを伸ばす」と話したが、日本の社員には「両方やる。(CDなどを)所有するという魅力をどう磨くかだ」と伝えた。「CD会社とデジタル会社の両方を経営しようと考えた」わけだ。
パッケージ文化が強い日本には、熱心なファンによって形成される「ファンダム」と呼ばれる文化があり、その層へのパッケージの売れ行きは今も勢いがあるという。ストリーミングなどでしか音楽を聞いたことがないデジタル世代が「コンサートやライブに行きたい」「CDなどのパッケージを所有したい」とフィジカルにも関心を持ち始めた。
アルバム3000円、シングル1000円に対し聞き放題1000円ではフィジカルは崩壊するといわれたが、日本は間違いなく両方が共存している。
ユニバーサル ミュージックは外資系ながら、日本独自のヒット作が売り上げの多くを占める。現在は約200のアーティストが所属し創作活動を行っている。
最近では「うっせぇわ」などで国民的大ヒットを飛ばし、「新時代」が世界でヒットするAdo(アド)や「死ぬのがいいわ」が音楽配信サービスSpotifyで再生回数2億回を突破し世界中で注目を集める藤井風ら、デジタル世代の若手アーティストを発掘・育成。若年層をとらえてヒット作を連発している。
海外マーケティングにも成功し人気は国内にとどまらず世界的ムーブメントを巻き起こしている。
Ado、藤井風、back number…
天才アーティストには4つの「超」がある
才能あるアーティストをどうやって発掘するのか。