処女作『コピー1枚すらとれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術』が話題沸騰のShin氏。外資系コンサルティングファームのマネジャーであり、ビジネスブログ「Outward Matrix」の運営者でもある彼は、本書のタイトルにあるように、もともとド落ちこぼれだった(落ちこぼれ時代のエピソードは、連載第1回をご参考ください)。彼はいったいどうやって、たった1年で外資系コンサルティングファームのマネジャーにまで上り詰めたのか――。急成長を遂げる過程で、考えたこと、学んだこと、そして実践してきたノウハウについて、Shin氏に教えていただいた。(初出:2017年8月2日)

資料作成でダメ出しを受けない人がやっていること――コピー1枚すらとれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

資料作成は「スタート」で決まる

 コンサルティングファームでは、若手でも、データ収集や分析、スライド作成に駆り出されます。新人だった頃のぼくは、クライアントへの提案書をまとめる仕事を振られました。仕事を任され意気込むぼくでしたが、いったいどのような構成やビジュアルで作成すればいいのかまったくわかりません。結局よくわからないまま、過去の提案書を参考に作成し、それをマネジャーのところに持っていきました。すると、上司からは厳しい一言が飛んできました。

「おまえこんなのに1日もかけてたの……? もういいから帰れよ」

 確かにその資料のクオリティはとても低く、1日かけたわりにはお粗末にもほどがあるものでした。しかしそう言われても、ぼくにはどうすればいいかわかりません。そしてその後も、たびたびこのような先輩や上司を呆れさせるだけの“資料もどき”を作成する結果となりました。

 しかし、このままでいいわけがありません。あるときぼくは、意を決して「一生懸命資料をつくっているのですが、どうしてもクオリティが高いものをつくれません。正しい資料の作り方を教えていただけないでしょうか」と上司に聞いてみました。

 すると、「じゃあ、まずどうやってつくっているのかを説明してみて」と言われたので、「まず情報を集めて、それからスライドをつくり込んでいきます」と答えました。それに対する上司の答えは、「まず一番大事なところができていないな」でした。そして、まずやるべきことは、資料全体の目的を明確にし、一連のストーリーをつくることだと教えてくれました。

 先輩が教えてくれた「一連のストーリーをつくる」とは、つまり、その資料で何を伝え、相手にどう動いてほしいのか、その最終イメージとプロセスを明確にしてから資料をつくらなければいけないということでした。データ分析でも提案書でも、資料はすべて「読み手に行動を起こさせること」が目的となります。

 いくら一生懸命リサーチをし、分析をしても、読み手が「ふーん」となるだけでなんの行動も起こさないのでは意味がありません。「おお、なるほど。それではすぐに新製品を開発しないといけないな」「確かにうちの会社は中国では戦っていけない。すぐに撤退しよう」など、プレゼンの聞き手になんらかの行動を起こさせなければいけないのです。

 そして、行動を起こさせるためには、単にデータを羅列しただけの資料では足りません。報告される側の気持ちになってみれば、ダラダラとよくわからない説明が何十ページも続いている資料や、意味づけがなされていないデータが並んでいる資料を読んでも、行動を起こしづらいことがわかるでしょう。まずは、その資料で何を伝え、相手をどう説得していくか、全体の流れを明確にしてから、実際に資料をつくり始めなければいけないのです。