どちらのリーダーのもとで働いていた時のほうがチームのパフォーマンスが良かったかというと、当然、答えは後者です。

 できる仕事を与え、任せたうえで、ポジティブフィードバックをしたことで、部下はどうしたら承認されるかがわかり、自ら考えて動くようになったのです。さらに、以前の上司と違い、自分の頑張りを見てくれていると感じ、安心して業務に取り組めたことも、良いパフォーマンスに繋がりました。

 メンバー同士の交流も積極的になり、情報が共有され、多くの新しいアイデアが提案され、それが実行され、成果も伸びていきました。

 ポジティブフィードバックで認められる環境で仕事をしていると、脳内で幸福物質であるドーパミンが分泌され、幸福感を感じるだけでなく、モチベーション、学習機能、集中力、記憶力などがすべてアップします。それによって、さらに成果を出す「勝ち体質」になります。

「やりたい仕事」をこなして、その成果をさらなるポジティブフィードバックで認められ、感謝されることで、その好循環がより加速され、ワクワクいっぱいの無敵のチームとなるわけです。

「それいいね。やってみて」だけで
結果が出るようになる

 ポジティブフィードバックが組織に根付くと、自然と部下が張り切って自ら動くようになります。つまり、部下が力を発揮できる環境が整ったということです。

 組織には必ず計画や方針がありますので、上司は、部下にビジョンの方向性を示し、ワクワクする目標を与え、メンバーそれぞれの強みが活かされるタスクをアサインしたら、後は部下からの提案に対し、「いいね。やってみて!」と、背中を押すポジティブフィードバックを行うだけで、人、組織が劇的に変わります。

「いいね。挑戦してみようよ。最初のうちは結果が出なくても大丈夫。応援しているよ」
「その提案、いいね。費用面は了解。やってみて」
「いいね、任せるよ。でも、他部署から質問がきたり、相談したいことがあったら、いつでも声かけてね」

 日本マクドナルド社で伝説の店長と呼ばれ、現在は人材育成やマネジメント、リーダーシップについての講演や研修をされている「炎の講演家」鴨頭嘉人(かもがしらよしひと)氏は、ポジティブフィードバックが根付き、部下が自分で動くようになってからは、「それいいね。ぜひやって」だけで結果が出るという話をされていましたが、まさにそのとおりでしょう。