一見ファミリーカーながら
実はマニアックな1台
走りはなかなかスポーティ。アクセルのひと踏みで軽快に発進する。MTベースらしいAGSの直結感が心地いい。モーターが巧みにアシストする加速そのものもたくましいが、それ以上にAGSのダイレクト感が印象に残る。変速制御は実に巧み。シンプルなシングルクラッチ仕様でありながら、まるでベテランドライバーのように的確なシフトワークを披露する。AGSが生み出すドライバーとの一体感の高いドライビングフィールは、新ハイブリッドの大きな魅力である。
もちろん効率性もハイレベル。カタログでは60km/h以下と記載されているEV走行は、実際は75km/h前後まで可能。自動車専用道などでの巡航時は積極的にEV走行に移行する。しかもエンジンの再始動はスムーズ。目立った音や振動は感じない。約200kmの試乗で21.1km/Lの燃費をマーク。走りの楽しさを考えると経済性はハイレベルだと感じた。
コンパクトなボディサイズながら、広い室内空間と、圧倒的なユーティリティを実現したバンディットの使い勝手は抜群。これほど便利なクルマはない。しかも新ハイブリッドは、運転好きを魅了する個性の持ち主といえる。一見ファミリーカーながら、実はマニアックな1台である。
(CAR and DRIVER編集部 横田宏近 写真/小久保昭彦)