人の上に立つと、やるべき仕事や責任が格段に増える。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが多く発生し、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるリーダーたちにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。大人気シリーズ最新刊本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「組織で活躍できるかどうか」を決定づける、たった1つの質問をご紹介する。(構成/種岡 健)

「組織の中でダントツに活躍できるかどうか」を決定づける、たった1つの質問Photo:Adobe Stock

いかなるときも、チームプレーが素晴らしい

 会社のように集団で働いている限り、「組織」の中に「個人」がいます。

 この関係性は、切っても切れません。

「組織」と「個人」が横並びになっているわけではありません。

 そこが勘違いのもとです。

 私は、キャリアを重ねていく上で、「帰属意識」は必要だと考えています。
 合理的にも、感情的にも、どちらの面でもメリットがあります。
 金の切れ目が縁の切れ目とはよく言われますが、ビジネス上の付き合いは、本当に切れやすいものです。
 だからこそ、「同じ会社にいる」「同じ集団にいる」ということの価値は上がります。

 いまの社会では、あまりに個人の力が注目されすぎています。
 世の中の人は、1人で何でもできるように思いすぎています。
 集団への貢献より、個人の利益が優先されています。

 チームが優勝するより、自分のホームラン数が多い姿に惹かれるのでしょうか?
 個人プレーがよしとされる。それにより、全体が負けることが起こっています。

 しかし、いかなるときも、チームのために活躍する姿のほうが素晴らしいのです。
 そのワケを、次にお話ししましょう。

「進行感」という感覚を持ってみる

 ここで大事な考え方を紹介します。それは、「進行感」です。
 組織で働くことにより、あなたは「進行感」が得られる。

 私たちは、会社そのものが社会から必要とされることによって、その会社の一員であることを誇りに思います。

 個人の中に、

「この会社に居続けないと、損な気分になる」

 という気持ちが芽生えるからです。

 その会社の売上が伸びたり、会社のことがメディアに取り上げられたりし、社会的評価があがることで、「進行感」は発生します。
 その中でも、会社が企業理念の実現に近づいていく実感が得られることによる「進行感」がもっとも大切です。

 本来、会社は「企業理念」の旗印のもとに人が集まっているので、組織で働く人にとって、企業理念実現に向けて「進行」していることへの実感が、一番のエネルギーになるのです。

 経営者は社員に対して、「どうなれば企業理念に近づいているのか」をあらかじめ定義し、示す必要があります。そして、その定義を達成していくことで、企業理念の実現に向けての「進行感」を組織全員で共有していくのです。

「組織で活躍できるかどうか」を決定づける質問

 では、最後に「質問」です。

質問:あなたは「この会社に居続けないと損だ」と感じるでしょうか?

 会社が社会から必要とされるということは、その会社の一員である、あなたでも誇りに思うでしょう。
「この会社に居続けないと損だ」と思えるのなら、目の前の仕事に全力で取り組みましょう。
 人の上に立つ人であれば、そのメッセージを社員に対して表現しましょう。

「会社はどうやって貢献していくのか」「何のために存在しているのか」を打ち出し、ハッキリと明文化して伝えるのです。

 それにより、社員は、目標を設定し、どれだけ目標に近づいているのかを確認することで、その理念に近づくことを実感します。
 また、そのような組織の一員であることに誇りを感じます。それにより、社員は「辞める理由」がなくなります。

(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)