「原料」を仕入れている取引先が「やらかした」
5月23日に丸亀製麺が公表した「お詫びとお知らせ」の中の一文が、騒動の背景を、雄弁に語っている。
「弊社では、直ちに管轄保健所に指導を仰ぎ、原材料(野菜加工工場)由来の混入と判断したため、生野菜を扱う取引先の全工場において立ち入り検査を実施し検品体制を強化いたします」
消費者の感覚では、いくら原材料由来の混入だったとしても、野菜を盛り付けているのは厨房の調理担当者なのだから、そこのチェックが不十分ではなかったのかと思う。実際、SNSで「自作自演説」を唱えている人の中には、飲食店関係者もいて、「調理担当者が野菜を盛り付ける時に気づかないわけがない」という指摘も多い。
だが、丸亀製麺の今回の「お詫び」の中に、「加工野菜を洗ったり、盛り付ける時に調理スタッフも混入に気づくことができませんでした」なんて言及はない。再発防止策に関しても「取引先への立入検査」のみ。店にはなんの非もないというスタンスを貫いている。
それを象徴するのが「検品」という言葉だ。この文脈で使われている検品は、取引先工場から仕入れた原料の品質を確認するという意味だ。つまり、丸亀製麺にとって今回の異物混入は自社のミスではなく、あくまで取引先が「やらかした」という認識だ。
これに似た考え方がうかがえる騒動は、2014年にも起きている。
かつてマクドナルドが原料を仕入れていた中国の工場が期限切れ鶏肉を出荷していた実態が明らかになったことがある。当時の経営者は「自分たちもだまされた。被害者だった」というようなニュアンスのことを会見で述べて炎上した。多くのサプライヤーから原料を仕入れる大手外食チェーンはどうしても、「原材料由来の異物混入」も他人事で考えてしまう傾向があるのだ。
「バイトテロ」のように厨房で起きたことは自社の責任だが、原料はあくまで仕入れているものなので、悪いのは取引先であって、自社は巻き込まれただけ。それは企業としては当たり前の考え方だろう。しかし、消費者はそう都合よく解釈してくれない。
しかも、そういう「セクショナリズム」というか他人事感が、カット野菜の異物混入を増やしている側面もあるのだ。どんなに衛生管理をしても、野菜という自然のものなので必ず何かしらの生き物がまぎれ込むからだ。