PBR1倍割れ企業が
自社株買いを進める理由

 一時、東京証券取引所の上場企業の約半数がPBR1倍割れでしたので、危機感を持った東証が「PBR1倍割れ、何とかせい!」と是正要請をしました。

 PBRの上昇に効果的な施策が「自社株買い」です。自社株買いとは「企業が自己の株式を市場で買い戻す」ことです。自社株を買うことで「自社の株式数が減少し、1株当たりの純資産が増える」ため、PBRが上昇するのです。

 また、自社株買いによって企業の資本が減少するため、ROE(自己資本利益率)も上昇させることにもなります。

 もちろん自社株買い以外でPBRを上昇させる方法は「稼ぐ力の向上」ですが、容易ではありません。よって「できることから手を付ける」という意味では自社株買いはその筆頭といえるでしょう。

 株式投資に詳しい人はもちろん、非上場企業の経営者の中でも感度の高い方は「自分が経営する会社にもこういった指標を当てはめる」ため、上記の理屈を理解されています。

 実際、コロナ前においては、米国企業などによる自社株買いが大きな要因となり、米国株の株価は上昇しました。