――セイコーインスツル(SII)との統合で、主力の腕時計事業は製販一致効果が出そうだ。
セイコーウオッチとSII、セイコーエプソンの3社が集まり、成長戦略を描く。統合に至るかはわからないが、これは画期的なことだ。SIIの統合により、重複する事業は1年以内に整理統合していきたい。腕時計事業とSIIの電子デバイス事業が堅調であれば、中期経営計画は達成できる。
――「赤字体質を許さない」と言うが債務超過の和光はどうする。
和光はトップダウンが最も強烈な会社だった。まずは自分たちで考える習慣をつけてもらう。赤字事業をそのままにする気はないが、和光の社員の意見を吸い上げながら決めたい。
――“追放”した大株主の礼次郎氏の影響力が残っている。
確かに、私は養子であり、甥として、体のことは気にかけている。大株主の事実は変わらないし、敬意は払わないといけない。
しかし、社長解任後「人事の口出しは申し訳なかった」と先に謝ってきた。経営への口出しは100%心配ないと確信している。三光起業も含め、今の構図に危機感を抱いていない。
自身が独断専行と言われないよう、皆と意思疎通を図り、新たな体制で臨んでいきたい。新しいセイコーは、変わる。期待してもらいたい。
このインタビュー以降、時計の市場環境はスマートフォンやスマートウォッチの登場、コロナ禍などで激しい変化にさらされてきた。時計業界はこれまでどう変わり、今後どう変わっていくのか。特集『セイコー、シチズン、カシオ 時計“御三家”の黄昏』では、セイコー、シチズン、カシオの“御三家”が抱える「時計業界の闇」に迫った。特集の#4『時計3社「独り負け」のセイコーが反撃の狼煙!エプソンとの腐れ縁が復活の鍵に』では、御三家で“独り負け”状態になっているセイコーの「反撃の秘策」を明らかにしている。