景気回復、税収増の有効な手段は?
<子育て支援? 高齢者福祉?>
子育て世代への支援や、子どもを育てやすい社会にするための投資を手厚くすれば、子どもを産む人たちが増えるかもしれません。その子どもたちはいずれ納税者になります。また、高齢者福祉を手厚くすることで、国民の将来への不安が和らげば、消費が増えて景気が上向くかもしれません。どちらも手厚くしたいですが、国の予算には限りがあります。集めたお金をどこにつぎ込んでいくと社会はよくなるのか、私たちも考えなければいけません。
<増税?減税?>
国債発行額を抑えるためには、増税をして税収を増やすことが考えられます。しかし、不景気のときは減税をしてみんながお金を使いやすくするのが基本。増税をするか減税をするか、税金はどこから徴収するのかというのは、政治のいちばん大事なところです。
<対象を決めて給付?一律で給付?>
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた支援策として、2020年には住民基本台帳に記載されているすべての人を対象に、1人あたり一律で10万円を給付しました。2021年11月には18歳以下の子どもに1人あたり10万円を給付する決定がされました。一律給付は不公平がない代わりに、税金を多く使いますし、お金に困っていない人は貯蓄して消費が活性化されないという問題点があります。対象を限定した給付は、たとえば「子どもがいない若者だって苦しんでいるのに…」という不公平感を生みます。
若者の投票が社会を変える
一般的に民主主義において、若い人が大多数の社会では、未来に向けて中・長期的な視点での意思決定が行われます。若い人たちが、第一線で働いている自分たちの現在の不満、自分が年老いたときの不安との両方を考え、30~40年の期間を見据えて損をしないように投票をするからです。
しかし、働き終えた高齢者たちが多くなると、短期的な意思決定がされるようになり、働いている現役世代への支援や未来の社会への投資がおろそかになりがちです。2022年に行われた日本の参議院選挙の投票率は52.05%でした。これは諸外国に比べてとても低い投票率です。特に10代は35.42%、20代は33.99%、30代は44.80%と低い投票率となっています。
若い人たちが投票に行かないと、政治は高齢者向けの施策ばかりになってしまいます。若い世代の人たちは、「政治に無関心だと自分たちが損をする」ということを理解しておかなければなりません。