
監査法人にとって本業中の本業である上場企業の監査証明業務。その報酬額を最も多く得た監査法人はどこか。特集『公認会計士「実名」「実額」2364人ランキング』の#8では、全上場企業が支払った監査報酬額を監査法人ごとに集計し、多い順に並べてランキングを作成した。監査を担当した社数も含めてお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
全上場企業が支払った監査報酬額を集計
監査法人「上場企業報酬総額」ランキング
企業が作成した財務諸表の確からしさをチェックする監査証明業務のほかに、会計や財務の専門性を生かしたコンサルティング事業などを行う監査法人。監査証明業務は最も重要な業務の一つだが、規制強化で手間と時間がかかるようになった一方で、報酬単価が上がらない“割に合わない業務”という認識が業界内で広がっている。(『公認会計士・監査法人で深まる憂鬱の正体、企業にサステナビリティ開示義務化が間近に迫るも「脱監査」が止まらない』参照)
だが監査法人が資本市場や投資家、産業界から求められているのは、今も昔も監査証明業務であることに変わりはない。
監査証明業務は、根拠となる法律や目的によって分類できる。上場企業と一部の非上場企業に対して行われる金融商品取引法監査、資本金5億円以上または負債額200億円以上などの大企業に対して行われる会社法監査などだ。
その中でも金商法監査は、監査によって投資家や債権者を保護するという、公認会計士法第1条で記されている使命を体現できる業務だ。そこで、ダイヤモンド編集部は金商法監査の対象となる全上場企業が、監査法人に支払った監査報酬額を調査。監査法人にとって売上高である監査報酬額を、多い順に並べランキングを作成した。ランキングの上位であるほど、割に合わなくても本業に注力し、資本市場の健全な発展に貢献しようと汗を流している監査法人だといえよう。
監査法人業界は、四大監査法人である有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、PwC Japan有限責任監査法人が、監査報酬額や人材においてほかを圧倒している。ただし、四大の間は人材獲得競争などを繰り広げるライバル関係だ。その四大の序列はどうだったのか。
また、準大手監査法人に分類される太陽有限責任監査法人、仰星監査法人、東陽監査法人、三優監査法人の序列はどうだったのか。次ページでランキングを公開する。