大半の上場企業が
日経平均を「押し下げる」時代が来る

 日経平均と同じようなアメリカの株式インデックスがS&P500という上位500社の平均株価なのですが、このS&P500はリーマンショック以降、やはり右肩上がりでの上昇を続けています。

 しかしその内訳をGAFAM5社、つまりグーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフトと、それ以外の495社に分けて計算し直すと、前者がめちゃくちゃ成長している一方で、後者の株価は停滞しています。

 495社からさらにエヌビディア、テスラ、ネットフリックスを除いたら、状況はもっと悲惨なことになるはずです。

 つまりアメリカでも、機会への十分な投資ができていない企業の株価は伸びていない。だとすれば日本企業もマクロ要因で3万8915円超えを達成した後、その後でも成長を続けていくことができるのは、ほんのごく一部のチャレンジングな企業だけということになると予測されます。

 具体的にはソニーグループ、キーエンス、ファーストリテイリング、信越化学、東京エレクトロン、三菱商事、伊藤忠、三井物産、任天堂あたりが「日本のGAFAM」を形成して、日経平均の成長をけん引するでしょう。その一方で、リスクをとらない過半数の上場企業群が平均点の足を大きく引っ張る構図が、「日経平均3万8915円のあとの世界」での不安材料です。

 少子高齢化、人手不足、脱炭素、コスト高、エネルギー不足、防衛問題――何を考えてもこの先の日本経済には不安材料がめじろ押しだというのも事実です。

 一方で、それを乗り越えるためには本質的には投資しかない。それができない企業が居座り続けることができる日本経済の構造自体に、大きな未来の不安材料があるのかもしれません。