18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命。さまざまな技術革新や蒸気機関の開発による動力源の刷新などが進むなか、会計の世界においても、ビジネスの可能性を拡げる画期的な手法が生まれました。いったい何があったのでしょうか。会計の仕組みや考え方をこれまでにない視点で解きほぐす書籍『教養としての「会計」入門』の著者・金子智朗さんが解説します。
鉄道事業で起きた「困ったこと」
18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命は、工業を中心とする産業構造へ社会を変える歴史的なターニングポイントでしたが、会計においても産業革命は重要なターニングポイントとなりました。
それまでのビジネスは人手が中心ですから、製造業だとしても費用の中心は仕入れる原材料と人件費です。ところが、産業革命において蒸気機関が発明されると、蒸気機関を用いた機械や装置を使ったビジネスが誕生するようになりました。
その皮切りが蒸気機関車を使った鉄道事業です。ただ、鉄道事業を行ううえでちょっと困ったことが起きました。