“なんとなく”のイメージで広がる
「インターンシップの採用への影響」
24年卒向けの同調査では、インターンシップに応募したきっかけについても聞いています。
最も多い理由は「業種理解を深めたいと考えたから」で78.5%となり、次いで「(応募)企業の社風や職場の雰囲気をみたいと考えたから」が48.6%となりました。
注目したいのは、前年からの増加幅が最も大きかった「採用選考に有利に働くと考えたから」(46.4%)というものです。確かに、相互理解が深まりやすいインターンシップへの参加経験は、採用選考に有利になる可能性もありますが、実際には、インターンシップを行った企業の23年卒の採用実績データを見てみると、「採用数における自社インターンシップ等の参加者の割合」は27.0%であり、内定獲得のためにインターンシップ等への参加が必須とはいえません。
企業視点で見れば、インターンシップや1day仕事体験を行う目的は、「より詳しく会社のことを知ってもらう」ためです。『就職白書2023』の調査でも、インターンシップ等の実施目的として最も高かったのは、「仕事を通じて、学生に自社を含め、業界・仕事の理解を促進させる」で85.8%でした。キャパシティ上、参加者を絞るために選考を行っているものの、企業側はインターンシップ等を情報提供活動の一環と捉えていることがわかります。
ただ、学生の中には、「インターンシップの選考に通過しなかったら、本選考も難しいのではないか」と考えてしまうケースも少なくありません。
当研究所で行った20年卒学生に対する調査では、「インターンシップの選考結果は採用選考に影響があると思うか」をヒアリングしました。その結果、「影響があると思う」割合が64 .3%、「影響はないと思う」割合が 35 .7%となりました。
「影響がある」と思った理由を聞いてみると、「何となく自分がそう思っているから」が最も高く56 .5%、「就活情報サイトの記事で見かけたから」(26 .0%)、「知人(友人、先輩 等)から聞いたから」(19 .8%)が順に続く結果になりました。
「影響はない」と思う理由もまた、「何となく自分がそう思っているから」が62 .4%と最も高く、曖昧なイメージや先入観から「影響がありそう」と認識していることが読み取れます。
同調査では、インターンシップの選考に通過しなかった経験がある学生に対して、「インターンシップの選考に通過しなかった企業の採用選考を受けたか」についても聞いています。すると、「受けなかった経験がある」と回答した学生は77 .9%にのぼることがわかりました。