このようなマイノリティであるネット右翼が、ネット空間で強い影響を持つことにより、メディアの姿勢が萎縮するならば、あってはならないことである。ネット右翼の主張を無視しろと言っているわけではないが、圧倒的多数、98%の有権者はネット右翼ではないので、特定のマイノリティの意見に寄り添ったり、忖度したりするという姿勢がもしあるのであればそれは「政治的偏向」であり、放送法が定めた政治的中立性を毀損するものである。ネット右翼を過小評価してはならないが、過大評価してもならない。

 例えば100人の利用客のうち、たった2人からクレームがあったことを以て、サービスを大きく変更する経営者は端的に述べて適正な感覚を有していない。もちろん、民主主義の合意形成プロセスと営利企業の顧客構造はイコールではない。が、民主主義の合意形成プロセスに大きな影響を与えるメディアは、公共性を担保しつつも東証に株式を上場し、株式を公開している営利企業が多い。

 であるなら、当然2%の人々に過度に配慮したり影響を受けたりすることに正当性は無いが、彼らの多くはそもそもこういった数字的根拠を知らない。仮に知っていたとしても日々の業務に忙殺される中、仮に200万人のうちの更に2%である4万人から一斉に抗議が来ようものなら現場がたちまちマヒするので、その「声」に抗えないか、最初から彼らから抗議の来ない方向へと事前に内容を「調整」し予防する。これは極めて不健全である。あくまでも数字的根拠を以て客観的に評価するべきである。残りの98人、すなわち98%の人々こそがサイレントマジョリティであり、彼らこそが所謂「優良顧客」の根幹をなすのは言うまでもない。