不祥事を起こした企業がやってはいけない会見とは

 細かな状況は異なるが、「炎上企業」の多くは、ジュンさんと同じような過ちをして、同じような形で事態を悪化させている。

 では、その「過ち」とは何か。

 一言で言ってしまうと、「開く必要がない会見を開いて、言わなくていいことを取材で語ってしまう」ということだ。

 筆者は報道対策アドバイザーとして、これまで多くの不祥事企業の会見コンサルや、インタビュー対応、週刊誌からコメント回答などのサポートをしてきた。そこで嫌というほど見てきたのが、この「過ち」を犯す企業だ。

 わかりやすいケースを説明しよう。細かな点は伏せるが、ある製造業の企業で現場の「不正疑惑」が報道された。

 その企業の現役社員が告発したもので、製造現場ではかなり以前から行われていた不正行為で、周囲も効率的に仕事を回すための「必要悪」として黙認していたという。この報道を受けて、会社は内部調査をし、不正行為があることを確認。謝罪会見を催して再発防止策を発表して、一件落着となった。

 しかし、ほどなくして社長が低下した企業イメージをアップしようと、あるメディアの単独インタビューを受けることになった。そこで、どんなトーンで「過去の不正」について語ればいいのか、という相談が筆者のもとにきた。

 社長としては、取引先や顧客を安心させるために、「『不正行為』は過去のことで、もう二度と起きませんから安心してください」という強気で前向きなメッセージを伝えたいが、危機管理の観点ではどうか…というわけだ。

 結論から先に言うと、筆者は社長案はやめるべきだと答えた。

 不正の話題が出たら、「ご心配かけて申し訳ありません。現在、再発防止に全社をあげて取り組んで信頼回復に取り組んでいるところです」の繰り返しで切り抜けて、別の新事業などでポジティブなメッセージを出すべきだと進言をした。