「モラハラ夫」の評価が定着するまで
会見直後もその雰囲気を感じ取った人はいたが…
一方、鋭い提言が持ち味の言論人によるいくつかのネット記事では、会見の穴や氏のいたらなかった部分に指摘が及んでいた。ではどのような指摘があったのか。
その最たるものは、「氏は典型的なモラハラ夫ではないか」であった。ひとくちに「モラハラ(モラル・ハラスメント)」といってもその具体的な内容やあり方はさまざまだが、夫が妻に対して支配的に接しているか、夫が妻を自分の所有物であると考えている場合は、十中八九そこにモラハラが生じている。
ジュン氏の会見では、氏のモラハラ臭が垣間見えていたのでないか――というのが、会見懐疑派の意見であった。氏の会見を称賛する風潮こそ、「男性優位が社会に潜在していることが当たり前になりすぎている、その証左」として、世の中全体を批判する意見もあった。
実は会見のモラハラ臭への指摘は、言論人だけでなく、市井でもささやかれていた。特に女性が声を上げていた。「夫のモラハラ」に関していえば、それを発見するセンサーは、夫(男性)自身でなく、ハラスメントにさらされやすい側の女性の方が鋭敏であることを示している。
さて6月30日現在の時点だと、「キャンドル・ジュン氏はモラハラ」という扱いで記事を出しているメディアが多いだが、会見直後にその指摘をしていたのは一部のメディアと、一部の市井の女性たちであった。
しかし興味深いのは、「あれはモラハラ」とする人たちも(ごく一部を除いては)「氏は優しくて素朴で誠実な人柄かもしれないけど、モラハラの気質がある」と評したことで、「会見が演技くさい」とは断じなかった点である。つまり、大勢に押されながらも反対意見を表明した少数精鋭の人たちも、懐疑的な視線を投げかけつつ、ある意味だまされたと言えるかもしれない。