「あの人なんであんなことを言ってきたんだろう」「この仕事、ちゃんと締め切りまでに終わらなかったらどうしよう」。寝ようとするといろいろな考えが頭の中にわいてきてしまい眠れない。早く眠りたいのに、グルグル思考が止まらない人におすすめなのが、2023年6月28日に発売になった『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(大嶋信頼著)だ。著者はベストセラーになった『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)など、多数の著作を持つ人気心理カウンセラーの大嶋信頼氏。最新作の『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』では、心理学的なアプローチによって、働きすぎている意識をストップし、読むだけで眠くなるメソッドを多数紹介。「なぜか眠れた」「眠れないだけではなく、ストレスを感じている人にもおすすめ」「眠るのが楽しみになった」などの感想がすでに多数寄せられている。今回は本書の発売を記念して、著者の大嶋信頼氏にさらに「眠り」に関する質問をぶつけてみた。(構成:林えり)

自己肯定感が低い人ほど、眠れなくなる理由とは?Photo: Adobe Stock

自分や相手に完璧を求めてしまう

──夜寝る前、さぁ眠ろうと思ったときに、自分ができてないことが次々と思い出されてしまって、寝つきが悪くなることがあります。これって何が原因なんでしょうか?

大嶋信頼(以下、大嶋):眠る前に自分に対するダメ出しが止まらなくなる場合、「自己肯定感」が関係している可能性があります。

──自己肯定感ですか?

大嶋:はい。自己肯定感が高い人の場合、「ありのままの自分でOK」と思えるので、何かできなかったことがあっても、「まぁいいか」と思えます。

一方で、自己肯定感が低い人は「ありのままの自分でいい」と思えずに、いつも過剰に人から認められることを求めたり、自分や相手に完璧を求めてしまったりします。

一見、自分の感情を中心に考えているようにも見えますが、実際は「周り」が中心になってしまっています。

「周り」を中心にして、「周りの人の気持ち」を考えてしまうと、そこには正解はないので、「あの人はどう思っているんだろう」「こう思っているにちがいない」と無限ループで眠れなくなってしまいます。

「不快な人」にばかりに注目してしまうのはナゼ!?

──たしかにあれこれ考えて眠れないときは、仕事自体よりも人間関係のことで悩んでいるのかもしれません。

大嶋:そうですね。

もちろん、人間関係で悩んで眠れなくなる、というのは多くの人が経験することではありますが、どんな場所でも人間関係に問題を抱えやすいという人は、乳幼児期の親との「アタッチメント」が関係している場合もあります。

──「親とのアタッチメント」ですか。

大嶋:はい。

乳幼児期に親との適切なアタッチメント(愛着)があった人は、「自分を大切にしてくれる人」に注目します。

一方で愛情をかけてほしいタイミングでそれを得られなかった人は、「自分を傷つけるような人」に執着をしてしまうようになるのです。

乳幼児期に適切なアタッチメントがあった人は、大切にしてくれる人に注目することができて、不快な人に注目を向けないから相手の気持ちを考える必要がありません。

一方で、かまってほしいときに適切なアタッチメントがなかった人の場合、不快な人に注目しやすく、相手の気持ちを考え続けてしまって眠れなくなる傾向があります。

いつも不快な人が頭の中にいて「自分でなんとかしなければ」と眠れなくなってしまうのです。

「自分がどうしたいのか」を大切にする

──自己肯定感低めの人が、人間関係でストレスを抱えないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?

大嶋:「人の気持ちは考えない」ことですね。

相手の気持ちを考えてしまった時点で、相手のストレスに巻き込まれてしまいます。

相手の気持ちよりも「自分がどうしたいのか?」を中心にしていけば巻き込まれなくなります。

──なるほど。とはいえ、ついクセで人の気持ちを考えてしまう場合に効果的な方法はありますか?

大嶋:「みんなにも無意識が働いている」と思うといいです。

『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』にもくわしく書いていますが、意識的に人間関係をコントロールしようとするよりも、「無意識にまかせよう」と思って、努力しすぎをやめるほうがうまくいきます。

相手の背後に働いている無意識の力を信じるということは、相手からすると「私を信じてもらっている」という感覚になります。

そして、みんなに無意識が働いているんだったら、自分が何か相手のためにする必要がなくなる。

そんなふうに思えると、人間関係はスムーズになっていくのです。

この本を読むと、無意識がうまく働いていることを実感でき、安心して眠れるようになるだけでなく、人間関係が本当にスムーズになっていきます。

気づいたら「本来の自分らしく、のびのびと生きられている」。そんな世界をこの本で感じていただけたら嬉しいです。