子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

「考える力」と「相手を受け入れる力」が身につくディベート

 欧米では、ディベートは学校教育の一部となっています。

 意見交換をすることで自分の思考の偏りや思い込みに気づき、「世の中には多様な考えがあるんだ」ということを実感できます。

 つまり、「考える力」「相手を受け入れる力」、この2つを学ぶことができるのです。

 学校の授業では、「制服は廃止すべき」「高校生のアルバイトは自由にすべき」「死刑は廃止すべき」「動物実験は廃止すべき」などをテーマに、賛成派と反対派に分かれて議論をします(グループ分けはランダムで、生徒の個人的な意見とは無関係に分かれます)。

 ディベートのポイントは、相手を言い負かすのではなく、論理的に思考し、合理的に判断する力を鍛える、ということです。

 日本の学校ではこの機会がなかなかないので、親子でぜひトライしてみてください。

 たとえば、「図書館にマンガは必要?」と質問してみて、子どもが「必要/賛成」という意見であれば、親は逆の立場になって話し合いをします。

 親:「学校でマンガは禁止。学校は勉強する場所だから」

 子:「図書館にマンガを置くのは賛成。最近は歴史、医療、政治、経済、国際問題など、教育的なマンガが多くある。学習に役立つマンガであれば図書館に置くべきだ」

 親:「教育的なマンガか否かは誰が決める?」「教育的であることの根拠は?」

 このように問いを入れながら、子どもがロジカルに思考できるように導いていきます。

 親子の遊びの延長ですから、感情論や口ゲンカにはしないでください。

 あくまでも「なぜそう考えるのか」を深く考えること、自分の考えを論理的に説明する力をつけることが目的です。

ディベートのトピック例
・学校制服は廃止すべきだ
・飲酒年齢は18歳に引き下げるべきだ
・男子校、女子校は共学よりも優れている
・いじめをした生徒は法的に罰するべきだ

・生徒も先生の通信簿(評価)をすべきだ
・死刑は廃止すべきだ など