「ファン」を作る

 コミュニティを運営していく上でもう一つ重要なのが、ファン、つまりフォロワーを作ることだ。

「これまでも、大なり小なり障壁にぶつかってきました。そのとき、『一緒に行くぞ!』と言ってくれる人が多ければ多いほど、物事はうまく進むということに気づきました。僕の取り組みを面白いと思ってくれる人は、『困ったことがあったら協力するよ』『好きにやっていいよ』と応援してくれます」

 太古さんにとってファンを作ることは、会社をより良くするための手段であって、目的ではない。そして、現在では、全社の様々な部署に「太古ファン」がいるようだ。

 ファン(=フォロワー)を増やすために、太古さんはどんな工夫をしているのだろうか。「技術研究会である以上、技術力の証明は必要」と太古さんは言う。

「僕は縁あって、滋賀大学データサイエンス学部のインダストリアルアドバイザーとして、学生さんにデータ分析について実践的にアドバイスしています。自己紹介でそう伝えると、『多分きっとすごい人なんだ』という印象を持ってもらえるようです。そういう人に教わったほうが早く上達できそうですし、自分の成長に希望を持ってもらえるのだと思います」

 社外での活動を社内でPRすることも重要になってくるようだ。

新たなコミュニティ「AIキャンプ」を創設

 太古さんは、新たなコミュニティ「AIキャンプ」を立ち上げ、活動を進化させてくれる仲間を探している。太古さんは、「大事なのは、何を集客のトリガーにするかだ」と言う。

「AIキャンプでは、毎月一回、社外のAI活用実践者や専門家を呼んでイベントを開催しています。第一回は何も宣伝せず、『この人なら』という人に声をかけました。すると、口コミで230人くらいが参加してくれました。発表者は毎回変えていて、第二回からは、社内事例も発表しています。第二回は開発部門、第三回は管理部門で、そのたびに各領域のメンバーが増えていきました」

 もう一つ重要なのは、“ここでしか聞けない”限定感を出すことだ。

「いつでも行けるとか、いつでも聴けるとなると、なかなか参加率は上がりません。このイベントはこの日だけという限定感を醸し出そうと心掛けています」