情熱の火を絶やさない「ほっこり理論」
太古さんには、大切にしている「仲間づくりのコンセプト」がある。名付けて「ほっこり理論」だ。
「AIキャンプは、キャンプファイヤーのように火にあたってほっこりしながら、少しずつ火種が広がっていくことをイメージしています。その“情熱の小さな火種を持った人を増やす”というのが、僕の仲間づくりのコンセプトです。火の大きさでコミュニティの大きさを表現する方法もありますが、いきなり大きくしてしまうと、火事かもしれないと驚いて火を消そうとする人が出てくるかもしれません。だから僕は、火を大きくするのではなく、火の数を増やしたい。小さな火種がポコポコ出てくれば、風が吹いて大きくなるかもしれないし、仮に僕の火が消えても、他の火は残っているはずなんです」
コミュニティリーダーに必要な資質とは
太古さんが考える、コミュニティリーダーに必要な資質とは。
「それについて、ちょうど一昨日も滋賀大学の河本薫先生と話していました。河本先生はパッションと言っていましたね。会社を良くしたいとか、世の中を良くしたいとか、そういう情熱を持っている人。僕はそれを火種と言っていますが、コミュニティを通じてAIや機械学習に関するノウハウを一つでも多く共有し、ちょっとでも良くしたいという気持ちがないと、とても続きません」
加えて、情熱を秘めた人にリーチするマーケティング能力、技術系のコミュニティなら技術力、さらに、発信するネタを作る企画力が必要だ。太古さんは、あらゆる領域のインプットを欠かさない。
「本は大量に読み漁っていて、YouTubeもずっと聴き流しています。それから『太古くん、これ読んだほうがいいよ』『これやったほうがいいよ』とアドバイスされたら、すぐにやってみます。僕は周りの人にすごく恵まれているのだと思います」
コミュニティは評価されなくていい
こうしたコミュニティ活動は、ダイハツ工業の社内でどう評価をされているのだろうか。
「僕は、コミュニティの盛り上がりやコミュニティの成果だけで評価はしないほうがいいと思っています。コミュニティは会社や世の中を良くする手段の一つであって、目的ではありません。仮に、コミュニティを頑張れば評価されるとなって、コミュニティしかやらない人が出てきてしまっては、本末転倒です」
ダイハツ工業では、人事評価基準の一つとして、新たな挑戦を推奨している。よって、社内外のコミュニティ活動が全く評価されないわけではない。ただ、何のためにコミュニティを作るのか、何のために盛り上げるのか、その本質を忘れずにいることが重要だ。