無自覚な加害「セカンド・ハラスメント」を防ぐ

【相談】 顧客からセクハラ。先輩に相談したら「みんな通ってきた道だから」と言われました。

【アドバイス】 セカンド・ハラスメントです。正式な社内窓口へ相談しましょう。

 セクハラなどのハラスメント被害にあった人が、上司や先輩に相談したときに受ける二次的なハラスメントを「セカンド・ハラスメント」といいます。ハラスメントを受ける原因は当事者にあるとしたり、仕方がないとハラスメントを容認すると、さらに被害者を精神的に傷つけます。また、一次的なハラスメントよりも、被害を与えているという意識が薄いという特徴があります。

 例えば、セクハラ被害者に「そんな服装をしているあなたが悪い」「自意識過剰ではないか」などと責めたり、「大人なんだからそのぐらい我慢しろ」「波風を立てるな」とハラスメントを認めるような声掛けをする行為が典型的です。こうした例は、著者がハラスメントの相談窓口を担当するなかで実際に聞いたものです。勇気を出してハラスメントの実態を相談したのに、このようにあしらわれた被害者の心の傷はとても深く、精神疾患を発病してしまった人もいます。

 セカンド・ハラスメントは、相談を受けた側の無理解や知識の欠如が原因で起こります。また、加害者も過去にハラスメントを受けていたケースが多く、自分が耐えてきただけに相手にも同じ経験を求めがちです。

 時代の変化を理解せず、自分の価値観でハラスメント行為を判断していると、「過去は容認されていたが、今はハラスメントとになること」に対して適切な判断ができません。また、ハラスメントが被害者に与える影響にも理解が及ばないからこそ、セカンド・ハラスメントを起こしてしまうといえます。相談を受けた場合は自分で判断せず、上司やハラスメント相談窓口へつなぐことが基本の対応になります。

 もし被害者になったときは、適切な社内窓口にセカンド・ハラスメントも含めて相談してください。セカンド・ハラスメントを認識していない会社も多いため、まずは実態を報告し、研修や啓蒙によって抑止環境をつくりあげていけるといいでしょう。