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「顧客からのセクハラを上司に相談したら二次加害を受けた」「退職日までの有休消化を認めてもらえない」。誰にでも起こり得る職場の問題にうまく対処するためには、安心して働ける職場の正しい知識を身につける必要があります。※この記事は、村井真子『職場問題グレーゾーンのトリセツ』(アルク)の一部を抜粋・再編集して紹介します。
会社備品の弁償を求められた場合
【相談】 会社の備品を壊しちゃった!弁償代を給与から天引きされちゃう?
【アドバイス】 どんな場合でも、弁償代を給与から無断で天引きすることは許されません。
会社の備品を壊してしまい、弁償代を請求される……絶対に払わなければならないような気がしますよね。最近はパソコンや携帯電話など高額な備品が貸与されることも多く、こうした相談が増えているようです。
でも、単なる不注意や、通常使用の範囲内での破損であれば、損害のすべてを弁償しなければならない場合は限られます。それらの備品は仕事で使用するものなので、誤って壊してしまうことは十分起こりえることです。仕事をする上でのリスク管理の責任は会社側にあり、備品の管理も当然に責任範囲に含まれます。
ですから、労働者自身に全額弁償義務が課せられるのは、わざと壊したり、通常では考えられないような使い方で壊したときに限定されます。また、弁償金額は備品自体の価値や破損の程度によって決まります。したがって、こうした破損に対し、会社が事前に賠償金額を定めたり、一方的に金額を決めて労働者から徴収することは許されません。
仮に弁償する義務が課せられる場合でも、無断で給与天引きすることは労働基準法で禁止されています。給与はその全額を支払わなければならないとされており、無断の給与天引きはこの規定に違反します。労働者自身が自分の意思で許可しない限り、会社が弁償代を天引きすることはできないのです。
もし備品を壊してしまったら、その状況と破損の程度について、速やかに会社に申告します。黙ったままでは故意にその事実を隠したとみなされ、就業規則に定める懲戒理由に該当する可能性があります。そのうえで、懲戒内容に従い始末書を書いて出すなどの対応をしましょう。
ただし、会社から金額を言い渡されたら、その額の支払いに安易に同意してはなりません。まずは提示された金額が妥当なのかを、自分でも修理見積りを取るなどして確認するとよいでしょう。
無自覚な加害「セカンド・ハラスメント」を防ぐ
【相談】 顧客からセクハラ。先輩に相談したら「みんな通ってきた道だから」と言われました。
【アドバイス】 セカンド・ハラスメントです。正式な社内窓口へ相談しましょう。
セクハラなどのハラスメント被害にあった人が、上司や先輩に相談したときに受ける二次的なハラスメントを「セカンド・ハラスメント」といいます。ハラスメントを受ける原因は当事者にあるとしたり、仕方がないとハラスメントを容認すると、さらに被害者を精神的に傷つけます。また、一次的なハラスメントよりも、被害を与えているという意識が薄いという特徴があります。
例えば、セクハラ被害者に「そんな服装をしているあなたが悪い」「自意識過剰ではないか」などと責めたり、「大人なんだからそのぐらい我慢しろ」「波風を立てるな」とハラスメントを認めるような声掛けをする行為が典型的です。こうした例は、著者がハラスメントの相談窓口を担当するなかで実際に聞いたものです。勇気を出してハラスメントの実態を相談したのに、このようにあしらわれた被害者の心の傷はとても深く、精神疾患を発病してしまった人もいます。
セカンド・ハラスメントは、相談を受けた側の無理解や知識の欠如が原因で起こります。また、加害者も過去にハラスメントを受けていたケースが多く、自分が耐えてきただけに相手にも同じ経験を求めがちです。
時代の変化を理解せず、自分の価値観でハラスメント行為を判断していると、「過去は容認されていたが、今はハラスメントとになること」に対して適切な判断ができません。また、ハラスメントが被害者に与える影響にも理解が及ばないからこそ、セカンド・ハラスメントを起こしてしまうといえます。相談を受けた場合は自分で判断せず、上司やハラスメント相談窓口へつなぐことが基本の対応になります。
もし被害者になったときは、適切な社内窓口にセカンド・ハラスメントも含めて相談してください。セカンド・ハラスメントを認識していない会社も多いため、まずは実態を報告し、研修や啓蒙によって抑止環境をつくりあげていけるといいでしょう。







