コツコツと業績を伸ばしてきた経営者が直面する「売上の壁」
特に、年間の売上高が2億円から3億円のレベルに達すると、そこでピタッと成長が止まってしまう経営者が多いという。
そんなときに参考になるのが、【発売から18年、2万人以上の経営者に支持されるバイブル】として、待望の新装版が発売された『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』だ。
本稿では、上場経験のある経営者から熱烈な推薦を受けている本書の中から、「なぜ、経営者は伸び悩んでしまうのか」を一部抜粋して紹介する。

業績が伸び悩んでも「乗り越える経営者」と「そこで止まる経営者」の決定的な差とは(後編)Photo: Adobe Stock

社長より「デキる営業マン」は存在しない

「ウチは営業だけで4人います」とおっしゃる経営者もいます。「なるほど、それでは営業マン1人ごとの売上高の内訳を見せてください」とお願いして見せていただくと、売上のほぼすべて、70~80%はその経営者が稼いできた金額であったりするケースの多いこと。
 もし営業マンが全部で4人だとしたら、社長を除いた残りの3人で20~30%ですから、1人当たりにしたらせいぜい10%あるかないか。この状況では自分の給料が出るかどうか、といった水準ですから、雇っているだけ損をしているような勘定です。

 とはいえ、社長以外の営業マンが数字を上げられないのにも構造的な理由があります。人を雇ったから、売上が増えるのではありません。
 3億円の壁を越えられない企業では、営業マンが入社したら名刺だけつくって、「じゃあ行ってこい」とポンと放りだしてしまうケースが非常に多く見られます。商品知識もない、見込み客リストも持っていない、自社のこともよく分かっていない状態で営業しろ、というのは酷な話です。

 その上、「お客様を見つけるためには飛び込み営業でも何でもしてこい」と旧態依然の方法を押しつける。見込み客集めから契約まで続く、一連の営業活動の流れのすべてを1人の営業マンに投げてしまっている状況です。

 確かに創業間もない頃は社長自身が飛び込み営業をしたかも知れませんし、それでそれなりの成果を上げたこともあったでしょうが、今目の前にいる営業マンにはそれほどの技も熱意もないのです。

「自分がいなくても売上が立つか?」を考える

 会社の設計図、ビジネスモデルに沿って計算された集客と営業の仕組みがなく、営業マン個人の才覚に任せてしまっていては、事態は一向に好転しません。
 このようないびつな状態のままで営業マンをいくら増やしても、経営が苦しくなるだけなのはお分かりでしょう。営業マンとしてのキャパシティが2億円である、という原則を踏まえると、たった1人の優秀なスーパー営業マンに頼り切った収益構造のままでは、まず3億円の壁を越えることはできない相談です。

 社長の営業力に頼らなくても売上が立つ構造、営業体制をつくり上げてしまわなければ、10億円には届かない。そして社長が現場で戦闘を続けている限り、社長への依存体質も変わりませんし、新しい営業の仕組みを考え、形にするための時間もありません。いつまでたっても自転車操業的なやりくりが続くことになるのです。

 いち早く、自分頼みの営業体制から「自分がいなくても売上が立ち続ける体制」に移行できるかどうかが10億円企業に脱皮する鍵を握っている、ということです。そのためにやるべき社長の仕事はいくらでもあります。現場に出るな、と私が口をすっぱくして繰り返すのはそれが理由です。

 平均すれば能力が自分の30%しかない営業マンばかりでも数字が見える。それこそが10億円企業の正しい姿なのです。

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ここに紹介したことのほか、『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』では、経営者が企業の成長のために考えるべき「設計図」とは何かをコンパクトに紹介しています。ぜひ参考にしてください。