DX利権 日本カストディ銀行の悪事#4Photo:JIJI

ダイヤモンド編集部は7月20日、数々の疑惑の渦中にある田中嘉一・日本カストディ銀行前社長に独占インタビューを行った。調査委員会のヒアリングに応じなかった田中氏は、取材に一体何を語るのか。田中氏が口にしたのは、調査委指摘の前提を覆しかねない意外な事実だった。特集『DX利権 日本カストディ銀行の悪事』(全5回)の#4は、田中氏の一問一答をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

「不正行為は一切行っていない」
調査委指摘を全面否認!その真意は?

――日本カストディ銀行(CBJ)の調査委員会が認定した「不正行為」への見解は。

 私は調査委の報告書を拝見していませんが、不正行為など一切行っていません。

――調査委のヒアリングに応じず、資料の提供を拒んでいるのでしょうか。

 違います。4月21日に調査委からヒアリング要請があり、私は「急な要請であり、多忙で対応できない」「まずは三井住友トラスト・ホールディングス(TH)と相談をする」「代理人との話し合いが必要であればその旨を要請してほしい」と調査委委員長の木目田裕弁護士にメールで回答しました。

 木目田弁護士からは、「代理人での対応については日本カストディ銀行の判断となる」とのメールがあり、三井住友THとの相談に関しても「ご自由に」とのことでした。

 そこで私は24日、三井住友THのコンプライアンスホットライン窓口に「日本カストディ銀行で私に関して調査をしているが、適切に行われていないと考えているので調査をしてほしい。本件ヒアリングの申し入れのある事態については土屋(正裕)社長が全てご承知である」とメールしました。

 しかし5月22日、コンプライアンス統括部から「持ち分法適用会社であるCBJに対して、直接調査を行うことができない」「調査状況を確認するに、明らかに不当な点、不合理な点は見いだすことはできない」との回答を受けました。

 三井住友THの役員にも電話で「対話は行う。ただし弁護士を交えて行いたい」と伝えましたが、CBJからその回答は今も頂いていません。

昨年12月31日にCBJ社長を退任した田中嘉一氏は、CBJの調査委員会が認定した「不正行為」について、全面的に否認した。田中氏が古巣の三井住友THに対して訴えていたのは、「調査が適切に行われていない」こと、そして「土屋社長が全てご承知である」ということだ。一体どういうことか。次ページから、真相に切り込んでいく。