もともとの年間支出額である445万~475万円に、この384万円と、財形への拠出額(年12万円)を加えた支出総額の推測値は841万~871万円です。今回は間を取って856万円とします。
年間収入880万円から、年間支出856万円を差し引くと24万円の黒字です。ただ詳細が分からないので、この年間黒字額はあくまで参考値として示し、試算には組み入れません。
退職金1800万円が得られれば
生命保険の解約は不要!?
さて、長女が大学に進学する1年後(2024年)、現在の年金財形貯蓄210万円は222万円に増え、預金100万円と合わせた金融資産は322万円になっているはずです。
予定通り国公立大学に進学した場合、初年度の教育費は国立が81万7800円、公立が92万7668円です。それ以外にも追加の支援があるかと思いますので、少々多めの100万円とします。
現在の長女の教育費は年間25万円ですので、そこから75万円増えているわけです。ただ、貯蓄が322万円あることから、生命保険を解約しなくても増額分の75万円は負担できるはずです。貯蓄から75万円を差し引いた残りは247万円です。これが1年後のシミュレーションです。
長女が大学2年生になる25年以降も試算してみましょう。2年目以降の授業料は国立が年間53万5800円、公立が52万800円なので、今回も予備費込みで年間60万円とします。高校時代からの増額分は年間35万円、大学2~4年生の3年間で累計105万円ですが、上記の金融資産から問題なく支払える範囲内です。
ただ、Kさんは現在57歳なので長女が大学3年生の時(26年)に60歳を迎えます。本稿ではこの年齢で定年退職すると仮定します。この場合、再雇用で働くと収入が半減する可能性があると書かれていることから、家計収支が赤字になり、一時的に資産の取り崩しが発生するかもしれません。
それでも心配は無用です。Kさんは定年退職時に退職金1800万円程度を受け取る予定だからです。相談文に記載のある養老保険・医療保険の支払いや、年間60万円の「住宅設備ローン」の支払いもこの前後に終わり、支出も大幅に減っているはずです。
まとめると、時系列は下記のような形になるはずです。
・2025年:Kさん59歳、長女大学2年生 ※養老保険・医療保険の支払い終了
・26年:Kさん60歳、長女大学3年生 ※Kさん定年退職、退職金受給
・27年:Kさん61歳、長女大学4年生 ※住宅設備ローン完済
以上の試算から、一つ目のご質問については「退職金があれば家計は安泰なので、生命保険を解約する必要はない」「家計をしっかりやりくりすれば、手持ち資金で教育費を支払える」という回答になります。住宅ローンもあと少しで完済できますし、前倒しで返済する必要性は低そうです。