3.反対の立場から考えてみる
脳は、自分の求める情報と一致するものを記憶し、そうでないものを無視する傾向にある。そのため、もし改善を望むなら、あえて一致しなかったものを考慮するように努めなければならない。
そうした姿勢を徹底して貫くイギリスの遺伝学者、ポール・ナースは言う。
エリック・バーカー 著
「あるアイデアと、それを裏づける観察結果がもし私にあったなら、それを公表するのではなく、回り道してさまざまな観点から見て、破壊しようと試みる。そうした検証に耐えた場合にのみ、初めてそれについて語りだす」
これこそが、ナースがノーベル医学賞を受賞した理由かもしれない。
長期的には、自分の個人的なバイアスをもっとよく理解することで、判断を改善できる。いつもどんな間違いをすることが多いだろう? 相手が自分と似ている、または、自分とは異なると決めるのが速すぎはしないだろうか? 人を信用しすぎたり、あるいは、疑いすぎたりしていないだろうか? 自分に一貫してあるバイアスを修正することは、判断を改善する優れた方法だ。