世界興行収入10億ドル(約1421億円)を突破し、大ヒットとなっている映画『バービー』。日本でも話題となる一方で、男性漫画家がSNSで「強烈なフェミニズム映画だった」と失望を示し、物議を醸した。日本ではどのように受け止められるのか。(フリーライター 鎌田和歌)
「若い女性向け映画」ではなかったバービーに戸惑い?
「バーベンハイマー」を巡る一件で日本公開にみそをつけてしまった映画『Barbie(以下、バービー)』だが(※)、アメリカではたちまちファンアートやハッシュタグができるほどの人気作であることは間違いない。
全米では公開から5日で興行収入280億円を突破、さらに8月12日までに約730億円を突破したといい、今年の大ヒット作となることは間違いないと言えそうだ。
※「原爆の父」として知られるロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた映画『オッペンハイマー』と『バービー』がアメリカで同じ上映開始日であることから、カラーのまったく異なる2作を同時に見ようという呼びかけがSNS上で行われ「#Barbenheimer(バーベンハイマー)」のハッシュタグも登場した。2作品をモチーフとしたファンアートを楽しむ人も現れたが、『バービー』の米国公式アカウントが原爆投下をモチーフとしたイラストに好意的なリプライを飛ばしたことから日本で批判が噴出した。なお、『オッペンハイマー』の日本での公開は未定(参考:『原爆投下のネタ画像に批判殺到→ハリウッド映画『バービー』が謝罪…大炎上の背景は?』)。
一方、日本ではどうだろうか。日本では8月11日に公開され、公開3日間で興行収入1.9億円。週末の動員数ランキングでは8位だった。批評家からのレビューは相次いでいるものの、全体を巻き込んだ話題にまではなっていない印象だ。
バーベンハイマー騒動の余波というよりも、日本ではそもそもバービー人形よりもリカちゃん人形になじみがある人が多いことや、「若い女性向けの映画」と受け止められ、それ以外の層に広がりづらいことも理由かもしれない。
そもそも「バービー人形」は米国ではどういう認識をされているものなのか。また、日本の観客の一部からは否定的な声もあがっているが、それはなぜなのか。