特許や商標を出願する際の手続きを主な仕事としている弁理士。ChatGPTを使いこなせば、業務の効率化と顧客へのサービスの向上が可能だ。特集『コピーですぐに使える!ChatGPT100選 職種別・業種別・部署別』(全30回)の#7では、弁理士の代表的な業務である商標出願をテーマに、便利なプロンプトとChatGPT活用術を紹介しよう。それは、AIなどのテクノロジーに急速に仕事が奪われ始めている弁理士の、生き残り策でもある。(パワーコンテンツジャパン代表取締役 横須賀輝尚)
商標出願サービスが将来ただに!?
GPTで「手続き代行業」から抜け出せ!
特許や商標を取り扱う国家資格である弁理士は、他の士業と比較して登録人数が少ない。税理士は約8万人いるが、弁理士は約1万人であり、競争は激化しにくいといわれている。だが、他の士業と比べて切迫感が高まらず、気付いたときにはAI(人工知能)や他の士業に仕事を奪われていたという、ゆでガエルのような状況に陥りかねない。
実際に今、弁理士の世界では変化が起こっている。「Cotobox」や「Toreru」に代表されるAIによる商標出願サービスによって、商標出願の手数料が下がり始めているのだ。
こう聞くと、弁理士は食えなくなると思うかもしれないが、実は近年、知的財産の世界で担保権を設定できるようにする新たな動きもあり、チャンスが広がる可能性がある。
もっとも、前出のような商標出願サービスが普及しつつある中、従来型の単純な商標登録出願は手数料低下の流れが止まらず、無償に近づいていくことは避けられないだろう。
しかし、弁理士にとって商標出願における本質なサービスは「手続きを代行すること」ではない。「いかにその商標が経営にプラスに寄与できるか」が大事だ。つまり、今後は、どれだけ良いネーミングの商標を考え、助言できるかが弁理士の差別化につながってくる。
この点に関して多くの弁理士は、多少の助言ができたとしても、参考程度の域を出ていないことが多く、ネーミングに対してフィーを取れるほどの質の高い助言ができている者は少ない。
そこでChatGPTの力を借りることをお勧めしたい。次ページで、具体的なプロンプト(指示文)を紹介しよう。これらを活用すれば、「手続き代行」ではなく「提案」を付加価値とする弁理士に一歩近づけるはずだ。