コツコツと業績を伸ばしてきた経営者が直面する「売上の壁」。
特に、年間の売上高が2億円から3億円のレベルに達すると、そこでピタッと成長が止まってしまう経営者が多いという。
そんなときに参考になるのが、【発売から18年、2万人以上の経営者に支持されるバイブル】として、待望の新装版が発売された『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』だ。
本稿では、上場経験のある経営者から熱烈な推薦を受けている本書の中から、「伸びる経営者だけが考えていること」を一部抜粋して紹介する。
会社の目標を決めるときの落とし穴
いきなり10億円、を目標にする必要はありません。ここで考えたいのは、必ず達成したい売上目標です。私はだいたい3年で10億円へ、というのをひとつの定番にしています。最初の1年は3億~4億円ぐらいに設定することが多いです。自社の状況に合わせて、目標となる売上を決めていきます。
ちなみにやたらと高いところで単価設定をしてしまうと、パフォーマンスは最高に良くても後で苦労が待っています。業種が何であれ、単価が高い商品を売るためには、社員の営業スキルだったり、プランニング力だったり、あるいは技術的なレベルが高くなければなりません。社内スタッフが高いレベルにいなければならない。それが何を意味するかと言うと、人材集め、採用に苦労したり、育成に時間がかかったりします。あまり単価を上げてしまうと結局そういう問題が起こる。かといって下げすぎると今度は利益が出ない。経営的な側面から決めるべき問題なのです。
ちなみに社長はもともとが優秀な営業マンですから、比較的単価が高くなっています。ですから「自分と同じくらいは」と考えるのは危険です。何度も繰り返して恐縮ですが、社員は社長と同等ではありませんから、同じ単価の商品を売るだけの能力がないのが当たり前。最初は少し低めでスタートする、なども含めての単価の決定が必要です。
自社の「商品」を、もう一度見つめ直す
「単価×客数」の数式は業種によって本当にバラバラですが、仮に100万円×300人=3億円、と置いてみましょうか。300人に買ってもらう、契約してもらうにはどうしたらいいのか、は集客と営業のパートで検討することにして、ここでは単価、すなわち商品のことをもっと深く見ていきます。
単価100万円、と出してみました。「1つ100万円もする商品? 宝石みたいなものじゃないと……」なんて焦ることはありません。商品それぞれが高額である必要はなくて、要は組み合わせて100万円になればいいんですね。パッケージ、という考え方です。
例えば建築・リフォーム関係なら建材(使用する素材)の価格帯は本当にピンキリですから、どのあたりの材料を中心にしていくか、を考えて、基本となるパッケージを4つか5つぐらい持っておく。
あるいはクラウドを使ったサブスクリプション課金によるデジタルサービスを提供する会社であれば、基本単価が3万円だとしたら、12ヵ月分で36万円にしかなりませんが、サブスク導入前の診断、コンサルティング、追加サービスやメンテナンスまでを含めてパッケージにしてあげるような感覚です。
いずれにしても、納品したものだけが商品だと狭く捉えてしまうと失敗します。実際の商売、お客様とのやりとりの中に、商品化できるものがたくさんあります。もう一度、自社が今まで提供してきたアイテムを見直してみてください。ヒントが必ずあります。
戦略的な商品づくりにはこのようなベンチマーク、中心となる価格設定と必要となる客数の把握が欠かせません。このとき、価格が先に決まっている、ことがポイントになります。商品を一から考え直せ、とは言っていません。ベンチマークとなる価格に寄せていくために今扱っている商品をどうやって位置付けていくか、ということなのです。
もちろん、設定した価格になれば商品は何でもいい、などということは絶対にありません。あなたが自信を持ってお客様に紹介できて、買っていただけるものを売るべきです。そんな商品(群)、サービスを選ぶことが、戦略的な商品づくりの第2のポイントになるのです。
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ここに紹介したことのほか、『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』では、経営者が企業の成長のために考えるべき「設計図」とは何かをコンパクトに紹介しています。ぜひ参考にしてください。