ドイツの失敗に日本は学べるか

 現在電力・ガス価格が沈静化していると言っても、楽観論は禁物だ。ウクライナ戦争は、化石燃料が政治的な目的を達成するための武器として使われる時代がやってきたことを示しているからだ。

 ロシアのウクライナ侵攻は、世界のエネルギー情勢を根本から変えた。ウクライナ戦争は長期化の兆しを見せており、欧州の地政学的リスクは2022年2月24日よりも前の時代に比べて、大幅に高まった。我が国にとって重要なエネルギー源である液化天然ガス(LNG)を調達するための激しい競争も始まっている。それにもかかわらず、日本政府は2030年の発電量の41%を化石燃料でまかなう、というシナリオに固執している。この政策は、世界の脱炭素の流れに逆行するだけでなく、ドイツが過去半世紀にわたってロシアからの化石燃料に盲目的に依存して失敗した動きと二重写しになって見える。

 これに対し、日本以外の国々、特に欧州では化石燃料以外のエネルギー源、特に再生可能エネルギー(再エネ)の拡大によって、エネルギー自給率を高め、一国・一地域への依存度を減らす動きが加速している。世界全体でエネルギーの潮流が激変していることに、我々日本人も目を開き、対策を考える必要がある。