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プレイステーション4はビジネスになるのか?
「家庭用ゲーム機終了説」を検証する

石島照代 [ジャーナリスト]
【第36回】 2013年3月5日
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 ここまでの話をまとめると、ソニーがアジア・中南米を含む世界で、PS4ビジネスをしていく上では、

①海賊版対策をきちんとやること
②PS4がHDTVで見られるブルーレイディスク(物理ディスク)対応であること
③PS3と併売する地域を作ることで、先進国から新興国まで幅広く網羅できる時間差ビジネスを展開すること

 が、欠かせない条件になるようだ。

 ①の海賊版に関しては日本を含め喫緊の世界的問題で、この対応を怠るとパッケージソフトビジネスの未来はない。もうユーザーの良心に期待できる状況ではなく、法律で禁じたところで限界もある。この件を放置すると、ソフトメーカーもビジネスをする気が失せ、スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエスト」などの家庭用のレガシーソフト以外は、アプリビジネスを今以上に加速させるだろう。

 海賊版は完全に防ぎきれないというハードメーカーの理屈は分かるが、ソニーだけでなく、すべてのハードメーカーは海賊版対策に対し不断の努力を続けているという強い姿勢を見せるべきである。それが、莫大な投資をしてソフトを作り続けてくれる、ソフトメーカーへのせめてもの誠意であろう。

 また、iOSやGoogle Playといったアプリ市場の国際化は思ったより進んでおらず、米国、日本、イギリス、オーストラリア、カナダといった地域が70~80%のシェアを占めているという調査結果もある。家庭用ゲームで30%のシェアを持つ欧州市場で、十分にアプリ市場が立ち上がっていない可能性があるなら、PS4ビジネスにも勝機は十分あるといえるだろう。ただしそのためには、海賊版対策は必須であり、先進国でのクラウドビジネスは強化する必要があるだろう。

 ③のPS3との併売に関しては、PS4がPS3との下位互換を持たないことから、「PS3との併売は続けていくという方針」(SCE広報部)だそうだが、PS3の時も発売後2年間はPS2の遺産がPS3の立ち上がりを助けていた時期がある。今のところPS3で十分な地域もあるはずで、徐々に市場拡大を狙えばよいのではないだろうか。

 まず先進国でダウンロードビジネスを定着させ、コピー防止機能がついたメディア(ブルーレイ)の標準化を進めていくこと。そして新興国では、まずはPS3市場を形成して、PS4市場の足がかりを作ること。そうすることで、ソニーのPS4ビジネスは世界市場で十分成立し、ソニー復活への道が開かれるように思える。


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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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