「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」がおみやげ算で計算できる理由とは?
おみやげ算で「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」の計算ができる理由を説明するためには、中学校で習う文字式の知識が必要です。では、さっそく説明していきます。
x、y、zを整数とすると、十の位が同じ2ケタの2数は、10x+y、10x+zと表せます。
そして、十の位が同じ2ケタの2数をかけた数は、(10x+y)(10x+z)です。これを展開すると、
(10x+y)(10x+z)=100 x^2+10xy+10xz+yz ……①
となります。
一方、「十の位が同じ2ケタの2数をかけた数」を、おみやげ算によって求めます。おみやげ算では、まず、右の数から左の数に、一の位の数のおみやげ(z)を渡します。それは、次のように表されます。
(10x+y)(10x+z) → (10x+y+z)10 x=100 x^2+10xy+10xz
この結果に、「左の数の一の位(y)」とおみやげ(z)をかけた数yzをたすと、次のようになります。
100 x^2+10xy+10xz → 100 x^2+10xy+10xz+yz ……②
①と②が同じ式になったので、おみやげ算によって、「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」を計算できることが説明できました。
証明に「87×84」をあてはめてみると?
より具体的に理解するために、上記の証明に、先ほど例に挙げた「87×84」を当てはめて、計算の流れを確認してみましょう。
87と84はそれぞれ、10×8+7、10×8+4と表せます。
そして、87と84をかけると、(10×8+7)×(10×8+4)です。これを計算すると、
(10×8+7)×(10×8+4)=100 ×8^2+10×8×7+10×8×4+7×4 ……③
となります。
一方、「87×84」を、おみやげ算によって求めます。おみやげ算では、まず、右の数から左の数に、一の位の数のおみやげ(4)を渡します。それは、次のように表されます。
(10×8+7)×(10×8+4)
→ (10×8+7+4)×(10×8)=100 ×8^2+10×8×7+10×8×4
この結果に、「87の一の位(7)」とおみやげ(4)をかけた数7×4をたすと、次のようになります。
(10×8+7+4)×(10×8)=100 ×8^2+10×8×7+10×8×4
→ 100 ×8^2+10×8×7+10×8×4+7×4 ……④
③と④が同じ式になったので、おみやげ算によって、「87×84」を計算できることが説明できました。
「おみやげ算で計算できる理由」を小学生に説明するには?
文字式での証明は中学数学の範囲ですから、これをこのまま小学生に説明するわけにはいきません。では、小学生にはどのように説明すればよいのでしょうか?
小学生には、長方形の面積図を使って、おみやげ算で計算できる理由を解説できます。その方法について、ここでは誌面の都合で割愛しますが、『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に掲載していますので、興味のある方はお手にとってみることをおすすめします。