「年賀状ゼロはおすすめしない」研究者がそう語る深いワケ幸福学の視点からすると、年賀状をゼロにするのはあまりおすすめできない。ゼロか10かの二者択一ではなく、気持ちや体力に合わせて10だったものを1~3くらいに減らせば、本当に大切にしたい人とのつながりを無理なく維持できる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

近年、高齢者に関するさまざまな情報をよく目にするようになりました。どうすれば残された人生を幸せに生きることができるのか、迷っている方が多いからなのかもしれません。いままであまり知られていなかった「幸せに生きるコツ」に加えて、幸福度を高めるための具体的な実践ヒント「幸福学」を専門とする前野隆司さん、「老年学」の研究者である菅原育子さんの著書『60歳から幸せが続く人の共通点』(青春出版社)から紹介します。

シニアの幸せは「つながり」がキーワード

 60代は、人間関係に大きな変化が生じる時期です。定年退職によって会社とのつながりが切れ、親との死別を経験する人も多く、家族や親族とのつながりが薄くなります。健康不安があれば、外に出る機会が少なくなって、やはりつながりが切れやすくなってしまいます。

 激動の高齢期において、どうやって新しいつながりを見つければよいのか、あるいはどうすればつながりが切れないですむのか、それが私(菅原)の大きな研究テーマです。それまでのつながりが切れやすい年代だからこそ、つながりを大事にすることが幸福感にとって重要といえるでしょう。

 つながりは、健康のためにも有効だという研究結果があります。人づきあいや社会活動が乏しい人は、風邪のウイルスを与えられたときに、風邪を発症する確率が高いという結果が出ています。つながりが乏しい人は、多少つながりがある人よりも約1.4倍、つながりが豊かな人よりも約1.8倍、風邪を発症するという研究があるのです。