【マンガ】EV(電気自動車)の性能は全固体電池で飛躍的に向上する? 『恋する株式相場!』からホイチョイ流解説を紹介

一番売れてる月刊マネー誌『ダイヤモンドZAi』の人気No.1連載「マンガ 恋する株式相場!」の単行本第2弾が好評発売中! 今回はその『マンガ 恋する株式相場! 今から始める! 新時代の投資術』(ダイヤモンド社)から、世界が注目する「EV(電気自動車)」をテーマに、本書の内容の一部をマンガとともに紹介する。

トヨタが全固体電池を
2027年にも実用化へ

 トヨタ自動車は2023年6月、EVの性能を飛躍的に向上させるとされる「全固体電池」を27年にも実用化すると発表した。この発表は業界関係者が注目し、市場も盛り上がりを見せた。ただ、EVの真の価値や全固体電池とは何かといった点は、高度なテクノロジーが関係しており複雑で分かりづらいため、詳細には理解できていない人も少なくないのではないか。

 この記事では、マンガを活用しながら、EVや全固体電池について分かりやすく解説していく。

水素エンジン車、燃料電池車、EV
…どう違う?

【マンガ】EV(電気自動車)の性能は全固体電池で飛躍的に向上する? 『恋する株式相場!』からホイチョイ流解説を紹介
※コンパクトクルーザーが発表されたのは21年12月。

 トヨタは、30年までにEVの販売台数を350万台(2022年販売実績の約140倍)にする計画を掲げている。この計画策定の背景には、欧州連合(EU)が2035年までにガソリン車の販売を禁止すると発表したことがある(その後EUは23年3月、環境に良い合成燃料を使うエンジン車は認めると表明した)。

 トヨタは長年ハイブリッド車で実績を積んできた。それ以外にも水素エンジン車燃料電池車EVも作っているが、それぞれどう違うのだろうか。

EVはインフラで圧倒的にリード

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 まず水素エンジン車とは、ガソリンではなく水素を燃やすエンジン車のこと。モーターで動く電気自動車とは違い、動力は従来の車と同じエンジン(=内燃機関)だ。トヨタをはじめ日本の自動車会社はこれまで、内燃機関の技術を積み重ねてきた。トヨタはそうした技術的優位性を捨てたくないために、水素エンジンにこだわっているといえる。

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 一方、燃料電池車とは、基本的には電気自動車の蓄電池を「燃料電池」に置き換えたもの。水に電極を入れて酸素と水素に分解する実験の逆で、水素と酸素を化学反応させて電気を生み出すのが燃料電池だ。電気を作った後に残るのは水だけなので、クリーンな動力源といわれている。

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 水素エンジン車と燃料電池車は、水素を運んだり貯蓄したりするインフラを整える必要がある。また水素エンジン車はまだパワーが低く、実用化のメドが立っていない。燃料電池車はパワーの点では勝るし、電気自動車よりも走行距離が長い。高圧水素タンクを詰める大型トラックやバスなら可能性があるとされる。

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 ただ、インフラ面で圧倒的にリードしているのはEVだ。欧州では街の至るところに充電スタンドが設けられているという。そして、それらのスタンドに供給されているのは再生可能エネルギーで作られた電気だ。自然エネルギーは余分に発電してしまった時の身近な使い道が必要になる。その電気の蓄電先としてEVは不可欠な存在といえる。

リチウムイオン電池、全固体電池の
関連銘柄には日本企業が多数!

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 そのEVの関連株も注目されている。EVの蓄電池は、リチウムイオン電池が主流だ。リチウムイオン電池にはリチウムというレアメタルが必要で、世界中で取り合いが始まっている。トヨタグループの商社である豊田通商は、トヨタの電気自動車に必要なリチウムを、2030年分まですでに確保しているといわれる。

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 そもそもリチウムイオン電池は、正極・負極・セパレーター・電解液の4つの部材でできている。このうちセパレーターとは、ショートを避けるためのフィルム状の絶縁膜のこと。このセパレーターの製造装置は、実は日本製鋼所が世界シェアの70%を占めている。

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 また、次世代電池として期待されているのが全固体電池だ。この分野も日本がリードしており、トヨタはこれがゲームチェンジャーになると言っている。

 最大の特徴は、エネルギー密度が高く、これまでの電池より小さくても大きな容量の電池を作れること。全固体電池もリチウムを使うが、固体なので液漏れがなく、発火リスクが小さい。その上、充電時間が圧倒的に短くて済み、走行距離も伸ばせるのだ。

 21年3月に世界最大級の全固体電池の開発成功を発表したのは日立造船日本電気硝子も全固体電池を作っている。

 このほか、EVの駆動モーターを円滑に回すため部品「モーターコア」を製造するのに使う金型を作る三井ハイテックも要注目。モーターコアはEVだけでなく、ハイブリッド車でも燃料電池車でも使われる部品だ。同社はトヨタのプリウスのモーターコアで技術を蓄積し、世界シェアの70%を握っている。

 トヨタなどの自動車メーカーに限らず、このようなEV関連の多様な銘柄が今後も伸びていく可能性がありそうだ。

※本稿は『マンガ 恋する株式相場! 今から始める! 新時代の投資術』(ダイヤモンド社)より一部抜粋、再編集したものです。

<著者紹介>
ホイチョイ・プロダクションズ
バブル時代の超名作『私をスキーに連れてって』など映画やTV、マンガで活躍。株関連の著書は『マンガでわかる株式投資! 女子高生株塾』『株、FX、世界経済がマンガでわかる!新女子高生株塾』『マンガ 恋する株式相場! ゼロからわかる! 投資入門』(すべてダイヤモンド社)。他のベストセラーに『見栄講座 ―ミーハーのための戦略と展開―』『東京いい店やれる店』『気まぐれコンセプト クロニクル』(すべて小学館)など。