2人に1人の割合でかかる「顎関節症」
今すぐできるセルフチェックを!

 よく噛むには、顎の軸となる顎関節が正常に動く必要があります。2人に1人の割合でかかるといわれる顎関節症は、「口が開かない」や「顎を動かすと痛みがある」などの症状が出ます。歯がしっかりしていても、よく噛むことを意識しても、顎関節が不調では口を動かすことに支障が出るため、しっかり噛むことができません。特に現代人はスマホやパソコンで前かがみの姿勢になることが多く、顎に負担がかかることから顎関節症が増加しています。

 顎関節の状態を簡単にセルフチェックできる方法をご紹介しましょう。人さし指・薬指・中指の3本を合わせて縦にして、痛みや支障がなく口に入れば正常です。3本が入らない場合は、顎関節が十分に動いていません。また、鏡の正面でゆっくり大きく口を開け、下顎が真っ直ぐ下に動いて口が開けば問題ありませんが、下顎が左右どちらかにゆがんだり、左右に揺れながら口が開いたりする場合は、両方の関節の動きがスムーズではありません。この2つのセルフチェックでどちらかでも支障があった場合は、歯科医院で相談してください。

 口腔機能の低下が保険治療の対象になったと既述しましたが、実は判別する項目に顎関節の機能をチェックする項目は入っていません。2023年7月に行われた日本顎関節学会総会ではこの点を課題に挙げ、国民の咀嚼機能の維持・増進のために同学会は厚労省との折衝を行う方針としました。

 日本人の噛む力が回復し、健康寿命が延びることを願ってやみません。