名前や肩書きではなく、
「キャラ」で認知してもらう

 こんなこともありました。
 ある社長さんに教えてもらったのですが、その方が秘書の女性に「プルデンシャルの金沢さんに、この資料を送ってください」と頼んだところ、「金沢さん? どなたでしたっけ?」という表情を浮かべたので、「あ、あのピンクゴリラだよ」と言ったら、「ああ、あの方ですね!」と一瞬で通じたというのです。

「ピンクゴリラ」とは失礼ですが(笑)、僕自身、身体の大きい自分を「ゴリラ」と自称しているので文句は言えません。

 それよりも重要なのは、僕の名前や肩書きではなく、「ピンクゴリラ」というキャラクターで認知してもらえたという事実です。つまり、印象に残るキャラクターを打ち出すと、「僕という存在」を認知してもらいやすいということです。

 それに、その会社を訪問するときに、「こんにちは、ピンクゴリラです!」と笑顔で挨拶すれば、その秘書さんも心から笑ってくれます。それだけのことでも、秘書さんとの距離感を一挙に縮めることができるのです。

 そして、秘書さんとの関係性を築くことができると、社長さんと急なアポイントが取りたいときに融通を利かせてもらえるなど、何かと助けてもらうこともできます。しかも、このように自分の秘書とも良好な関係性を築く僕に対して、社長さんは好印象をもってくれるはずです。

 このように、「ピンクゴリラ」というキャラクターを認知してもらうことを起点に、僕の「影響力」をどんどん増幅させることができるわけです。

「自分はこれが好き」と表現すれば、
世界はどんどん広がる

 もちろん、これは僕のケースです。
 僕は、好きな色である「ピンク」で自分のキャラクターを打ち出しましたが、打ち出すキャラクターは人によってさまざまでしょう。

 僕の知人でディズニーランドが大好きな男性がいましたが、彼は、いつもミッキーマウスなどのキャラクターのネクタイを着用しているほか、ボールペンやクリアファイルもディズニーのものを多用していました。ディズニーランドの近くに引っ越すほどの”筋金入り”で、本当に好きだからディズニー・グッズで身を固めていたのですが、僕が見るところ、「ディズニー好きのおじさんキャラ」としての認知を確立。仕事上の関係者との心理的な距離も近く、多くの人々の協力を取り付けながら、上手に仕事を進めていたように思います。

 このように、単に真面目に仕事に取り組むだけではなく、「自分はこれが好き」ということを積極的に表現することで、「自分のキャラクター」を打ち出すことには大きな意味があると思います。

 何も恥ずかしがることはありません。もちろん、TPOをわきまえる必要はありますが、思い切って「自分はこれが好き」と表現すればいいのです。それがあなたの「自己開示」であり、その「自己開示」を起点に、他者とのコミュニケーションが始まるからです。そこから、世界はどんどん広がっていくのです(詳しくは、『影響力の魔法』に書いてありますので、ぜひお読みください)。