人事部門からの声として、研修はもちろんのこと社内イベントをするからには費用対効果の高いことをしたいという要望があります。物価高や景気低迷で企業経営がシビアになっている時流にあって、どこの会社もコストカットは大きなテーマであり、少しでも無駄なコストは使いたくないと考えています。特に経営者は、イベントをすることが会社の業績アップや社員満足度やエンゲージメントの改善につながるのかという視点で見ています。そうした経営者を納得させられるようなイベントを提案していかなければならないプレッシャーが人事をはじめとしたイベント担当者にはあります。

 そのため、エンゲージメントを上げるイベントとしてどんなものがあるのか、なにがベストなのかを人事担当者は情報収集することになります。ポイントは「ダイバーシティ」「体験型」「参加したくなる」の3つです。

 最近は楽しみながら学べる研修やイベントが注目されており、ゲーム形式やアクティビティ形式のコンテンツも増えています。例えばボードゲームや脱出ゲームなどを通してビジネスルールを学んだり、体を動かすアクティビティやチームでの競争を用いてチームビルディングをしたりすることなどです。これらは誰でも楽しめる「ダイバーシティ」の要素があり、「体験型」のためダレにくく「参加したくなる」ことが背景にあるといえます。

 もちろん昔からある合宿形式のイベントも新入社員研修などで引き続き人気です。知らない者同士が一緒に生活することでアイスブレイク(緊張した空気を和らげる)やコミュニケーション促進になり、一体感が芽生える「体験型」でのイベントです。ただ反面、長時間の拘束や長時間歩かせるなどハードな体験を伴うものは、近年敬遠される傾向にあると感じます。

 とはいえ、たくさんある選択肢のなかで自社にとってどれがいちばん適しているのかが分からないという声は依然として多いと感じます。ほかの会社では評判が高くても自社の課題に合わなくて効果が出なかったということも普通にありますし、研修やイベント担当は毎年同じ担当者であることは少なく、企業内での引き継ぎの問題もあります。