そして、ただ単に社内イベントを行えばよいわけではないという点にも注意が必要です。例えば、桜の花見は日本ならではの風物詩であり、人事異動や新入社員などでチームの顔ぶれが変わる年度始めにはもってこいのイベントです。しかし、みんながストレス発散やリフレッシュができて、翌日からまた仕事をする元気が出たのならよいことですが、必ずしも全員が進んで参加しているとは限らない点に考慮が必要です。会社の付き合いだからしょうがない、参加しないとノリの悪いやつだと思われて職場で浮いてしまう、強制参加で断れない、お酒や酔っ払いが苦手だが我慢……など、本当は参加したくないのに参加しているという人がたいてい一定数は集団に含まれているものです。
チームビルディングやエンゲージメント向上を最終的な目的としているなら、キックオフのため、周年事業での一体感醸成、内定者との共有体験づくり、リモートワーク中の社員との懇親会など、なにかしらビジネス的な意味付けをすることが重要だと思います。
あそびをチームですることで
なぜエンゲージメントが上がるのか
研修やイベントの効果という点でいえば、あそぶ研修は高い効果が見込めます。
私は企業や自治体向けに多様なあそびを企画・提案・運営する「あそび総合カンパニー」の代表を務めています。あそびを通した社員研修プログラムや社内イベントサービスを提供することで、これまでに数多くの企業の経営課題解決をサポートしてきました。
あそびは役職や年功序列を取り払い、全員がシンプルなルールに則って平等な関係で取り組むことができます。チャンバラ合戦や謎解き脱出ゲーム、運動会やサバイバルゲームといったあそびを通すことで、仕事上の関係だけでは分かりにくい相手の人間性を知ることができ、互いの理解を深めることができます。この点は、教える側と教えられる側に分かれて指導を行う一般的な研修とは異なる、あそびの大きなメリットといえます。
さらにゲームの最中に、チーム内で話し合ったり戦略を練ったり役割分担をしたりすることで、普段の仕事では直接関わらない部署の人とも交流が生まれます。上司や部下など階層にとらわれないコミュニケーションが発生するため、業務にもその経験が活かされ、社内の連携が良くなる効果もあります。