職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。

相手を不快にしてしまう「4つのDワード」。「でも、だって、どうせ」あと1つは?Photo: Adobe Stock

知らず知らずに不快に?

 言葉というものは、自分でも気づかないうちに、相手を不快にしてしまうものです。
 そうは言っても、言葉を選びすぎると、今後は逆に本心が伝えられな苦なってしまうのでもどかしいですよね。

 そこで、今回は、「相手を不快にしてしまう4つのD」について紹介したいと思います。
 まずは、この4つのワードを使わないようにしてみてください。それだけでも、確実に不快感はなくなります。

相手はバカにされたように聞こえる

 そもそも、不快を与える言葉として「3Dワード」というものは広く知られています。
 それが、「でも」「だって」「どうせ」の3つです。

 いずれも、言い訳やネガティブな言葉が後に続くため、頻繁に使うと聞き手の気持ちが下がってしまいます。
 それに、自分は言いたいことを説明をしている気持ちでも、聞く側からすると否定された表現にも聞こえます。

 あらためて注意したい言葉です。

 そして、ここにもう1つ加えたいDワードがあります。
 それは、話し始めに使う「だから」です

 とりわけ、相手の質問に答えるときに、最初に「だから」を言い始めてしまう人がいます。
 これでは相手はバカにされた気持ちになってしまいます。

質問「来期の予算って、まだ立っていなかったですよね?」
回答「だから、来月の定例会議で決定する予定ですよ」

 いかにも、「知っていて当然」というニュアンスに聞こえます。
 しかも、「だから」を丁寧に言い変えても、同じような印象を与えます。

質問「催行人数に達さない場合は、中止になることもあるんですよね?」
回答「ですから、その場合は、私どもからのご連絡をお待ちください」

 こちらも、あたかも、「さっきもいいましたよね」という面倒くささがあらわれています。

「だから(ですから)」は、順接の接続詞です。
 前の事柄が原因・理由となり、その結果があとに続くときに使うものです。

 前の事柄が相手と共有されていないのに「だから」から切り出すことに、そもそも無理があるのです。

 4Dワードは、知らず知らずのうちに使っていることが多いと思います。
 うっかり口をついていることに気がついたら、そのときがやめるタイミングです。
 気をつけるようにしましょう。

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。