「何より、お買い求めになるお客様の予算に合った商品を提供することが大事」と話すのは、「Jewelry Studio PLUSTER(ジュエリースタジオ・プラスター)」のショップ名でネット通販を手掛けるヒロエンタープライズ(東京都港区)の横田光弘代表取締役。というのも、ここ数年、ダイヤモンドの国際価格が大きく変動したからだと説明する。

 国際指標となる研磨済みダイヤ(カラーD、透明度IF)で見ると、2019年まで1カラット1万8000ドル前後で推移していたが、新型コロナウイルス禍で需要が減退した20年には10%近く下落。しかし、感染拡大が落ち着いたことに加えて、世界全体の供給量の3割を握るロシアがウクライナへ侵攻したことで調達リスクが高まり、22年半ばには2万2000ドルまではね上がった。

 そのため、ティファニーやカルティエといったラグジュアリーブランド、日本発のTASAKIや4℃などが相次ぎ商品価格を値上げした。足元でダイヤの国際価格は落ち着いてきたものの、戦争の長期化や円安基調、投機マネーの流入などもあり、買い求めやすくなるとは言い切れない。

 それだけに、供給が安定し、天然ダイヤモンドと比べ3~5割安価な人工ダイヤモンドの品ぞろえを充実させていく考えだと、横田氏は語る。

「価格訴求だけではなく、ラボグロウンだからこそできるユニークなデザインを打ち出したい」と話すのは、やはり人工ダイヤモンドの通販を手掛けるマノエ(甲府市)の担当者。たとえば、テーパーカット(細長い台形)のダイヤを星形やリボン形に組み合わせたアクセサリーのように、デザイン性の高い商品に力を入れる。天然石で作ると縦と横の比率や形が一つ一つ異なるため、同じサイズにカットするのが難しく、どうしても高価になるのだという。

「“金やプラチナの台座に天然ダイヤ”という昔ながらの定番にこだわる人にはハードルが高いかもしれないが、そうしたこだわりの薄い20、30代には好評」だと、担当者は手ごたえを話す。