ダイヤモンドの「新しい価値観」は
若い世代に受け入れられるのか
視線を食卓に移せば、資源保護の観点から、ウナギなど養殖の水産物に対する評価は以前と比べ高まっている。であるならば、ダイヤモンドが同じようになっても不思議ではない。天然ダイヤモンドが希少性の点で優れているのは確かだが、多くの社会的問題と無縁であることは人工ダイヤモンドの大きな特長だ。
「そうした特長は、特に若い世代ほど受け入れられやすいはず」と話すのは、ダイヤモンド専門の宝飾店「BRILLIANCE+(ブリリアンス・プラス)」を全国に7店舗展開するキュー(10月からドリームフィールズ、東京都中央区)の三木芳夫氏。「同じ予算で天然ダイヤより大粒の品を選べる点も、確かに人工ダイヤモンドの魅力」だとした上で、「それよりも強くアピールしたいのは、エシカルでサステナブルという新しい価値」だと力を込める。
今年4月から扱っている人工ダイヤモンドは、二酸化炭素と温室効果ガスの排出実質ゼロでの生成に世界で初めて成功した米WDラボ・グロウン・ダイヤモンド社製。人工ダイヤモンドの中でも気候変動リスクにまで配慮している点を、ストーリーとして顧客と共有したいのだという。
同社は採取する際の環境負荷が小さい「海底ダイヤモンド」の販売も手掛けており、従来の天然ダイヤモンド、人工ダイヤモンドと合わせて選択肢の多様性を打ち出す。三木氏は「どう選ぶかはお客様次第だが、一生に一度のブライダルリングを買うなら、次の世代に負担を残さない人工ダイヤモンドを。そう考える人は今後増えるのではないか」と見通す。
米婚約情報サービスのザ・ノット社が行った調査によると、22年に結婚したカップル1万2000組のうち、人工ダイヤモンドの婚約指輪を選んだのは36%。2年前と比べ2倍に増えたという。同じ流れが日本でも広がる可能性は高そうだ。
(金川俊以/5時から作家塾(R))