岐路に立つビズリーチ 大解剖#3Photo by Masato Kato

ビズリーチは今年7月、GPTツールによる「レジュメの自動作成機能」をリリースした。1分半程度でレジュメが完成し、企業からのスカウト受信量が平均で40%以上増加するという。特集『岐路に立つビズリーチ 大解剖』(全5回)の#3では、枝廣憲・ビズリーチCSOと効果を検証した小島武仁・東京大学教授に、GPTツールがマッチングの効率化に寄与するのか、最新の検証結果に迫った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

GPTが話題になる前から開発に着手
小島教授も驚く検証結果に

――ビズリーチは、なぜGPTツールを使ってレジュメ(職務経歴書)の自動作成機能を開発しようと考えたのでしょうか。

枝廣 転職活動はとてつもなく大事ですが、とてつもなく面倒です。これをテクノロジーの力で解決したいと考えたのがきっかけでした。

ビズリーチの「GPTで作れる職務経歴書」は成長の追い風か?効果を検証した東大教授らに聞く枝廣 憲(えだひろ・けん)/ビズリーチCSO(最高戦略責任者)。一橋大学経済学部卒業後、2004年電通に入社。12年gloopsに入社し、マーケティング本部長、CMO(最高マーケティング責任者)などを歴任。14年King Japan代表取締役に就任し、パズルゲーム「キャンディークラッシュ」などのプロダクト開発・マーケティングを統括。19年ビズリーチ入社。20年2月より現職。 Photo by M.K.

 そもそも、GPTツールが話題になる前、2022年の秋ごろから開発は始めています。いろいろなデータをAIにインプットして、レジュメを作るための言語モデルを作っていました。自前で作っている最中に登場したのがGPTです。

 情けないことに、GPTには勝てないとすぐに理解して、自前で作っていたものを全て諦めました。米オープンAIの提供するGPTにアウトプットの部分を委ねることで、開発のスピードが加速して、割と早いタイミングで出せたという流れです。

 AIはこれから間違いなく社会に浸透しますし、これをマッチングにどう活用できるかについては、重要度が高まることこそあれ、下がることはないという前提があります。小島先生にお願いしたのはそういう背景からです。

――そして今年の7月、GPTツールで自動作成したレジュメはスカウト受信数が平均40%増加したと発表しました。この検証結果をどう受け止めていますか。

小島 すごく恥ずかしいんですけど、結果を見てびっくりしました(笑) 。

枝廣 私もびっくりしました (笑) 。

小島 枝廣さんからGPTツールの話を聞いたときに、効果があると思っていたのは間口です。面倒なレジュメ作成を途中で諦める人がたくさんいるという課題は、他の研究を見ても強く実感していたんですね。だから、間口を広げるという予想はある程度していました。

 ただ、GPTツールで作成するレジュメ自体がいいものになってスカウトの受信数が増える効果については、そこまで大きいとは正直思っていなかったんです。ただ、検証するとかなり大きかったので、今回のGPTツールはレジュメへのアシストのレベルが既存研究とは違うなと驚きました。

―― 一方、最終的な目標は転職実現数(成約数)が増加することだと思います。スカウト受信数が増加するだけではかえって承諾率が低下してしまい、ビズリーチのダイレクトリクルーティングの良さが失われるのではないのでしょうか。

GPTツールはビズリーチ事業の武器になり得るのか。次ページでは、マッチング理論の研究で世界をリードする小島教授に、マッチング効率化の視点で疑問をぶつけた。7月のリリース以降、小島教授と枝廣CSOが進める検証の最新情報も併せて教えてもらった。