一つは新たに日銀総裁に就任した植田和男総裁が、黒田東彦前総裁の異次元緩和政策を引き継ぐと表明したこと。もう一つは、アメリカのFOMCがインフレとの戦いが長くなると表明したことで、市場の予測よりも回数が多い追加利上げが行われることになったことです。
そして今年、アメリカは4回利上げをして来月の5回目が最後になるのではないかというのが今の段階の期待です。
金利の前提条件を見ると
ここまで円安が広がるのは不可解
「不可解」な点は、金利の前提条件にあります。23年1月の段階と10月の段階で、ここまで円安が広がるほど、金利についての前提条件は変わっていないはずなのです。
植田総裁もFOMCも、その2月頃の発言の影響から6月あたりに1ドル=140円前後の円安になったのは理解できます。しかし、そこからさらに150円へと円安になる理由が見当たらないのです。
にもかかわらず、市場関係者の間では「年末に152円、来年は160円になるかもしれない」といった予測が飛び交ったりしています。
ここで、メディアで専門家が口に出さない別の理由が見え隠れします。円の信用が失われ始めているのではないかという心配です。