庶民から見れば円安は「生活に悪」でしかない
“3割引ジャパン”に喜ぶ外国人にイライラ

 庶民から見れば、今の日本経済は円安とインフレがセットになっています。ガソリンが高くなって、電気料金が高くなって、食料品が高くなって、飲食店の価格が高くなって、一応賃上げもあるのですが、それ以上に物価が高くなっているというのが実感です。

 生活を苦しめる犯人は円安だと、誰もがにらんでいます。なにしろ、日本が輸入しなければならないものがどんどん値上がりしているからです。

 コロナ禍が始まった頃までは、1ドル=110円前後というのが私たちのイメージでした。それが今のように150円となると、輸入品は以前の1.4倍ぐらいの価格になる計算です。それに比べれば企業努力と政府の補助金によって、物価上昇は過去2年で5%程度に抑えられている。

 これ自体はいいことなのですが、物価上昇を抑えるためにさまざまな企業が疲弊してしまいます。そのためこの先、継続的な賃上げは難しいかもしれないと考えが巡るのです。

 インバウンドの観光客が日本にやってきて「ニホン、安い、安い」と喜んでいるのを見ていると、最初のうちはほほ笑ましくもあり、消費拡大に寄与するのを頼もしく思っていたものです。

 ところが日本の魅力が安さばかりになってくると、さすがに少しムカついてきます。コロナ禍前とくらべて3割引きジャパンなのを喜んでいるのは外国人ばかりで、「日本人の生活はどうなるんだ」と怒りが湧いてくるわけです。