NTTドコモの井伊基之社長とマネックスグループの松本大会長写真:つのだよしお/アフロ

NTTドコモがマネックス証券を傘下に入れる。携帯キャリア4社で唯一、証券会社と銀行を持たず「経済圏」づくりで出遅れたドコモは、ネット証券の“大物”獲得で巻き返しを図る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

「経済圏」で出遅れたドコモ
マネックス傘下入りで挽回

「われわれが責任ある立場としてコミットメントをしなければマネックス証券の将来に関わるので、がっちり手を組んでやっていく」

 10月4日に発表されたNTTドコモによるマネックス証券の子会社化に関する記者会見で、ドコモの井伊基之社長は、証券会社の経営に意気込みを見せた。

 2024年1月4日から、マネックスの親会社はマネックスグループからドコモに移行する。マネックス株を保有する中間持ち株会社の出資比率はドコモ49.05%、マネックスG50.95%だが、取締役の過半を送るドコモが実質支配力基準で子会社化するスキームだ。

 携帯電話の契約が伸び悩むドコモは「非通信」事業の強化が課題だが、携帯キャリア4社で唯一グループ内に証券会社や銀行がなく、金融を核にする「経済圏」の競争で出遅れた。

 一方のマネックスは、SBI証券、楽天証券の「インターネット証券2強」に引き離されて業界3位のポジションで苦戦しており、ドコモの傘下入りで口座数を拡大することを決断した。

 ドコモは24年1月から新NISA(少額投資非課税制度)が始まる直前に「通信の色が付いていないネット証券」の思わぬ“大物”を確保した格好だ。

 ドコモはマネックスの証券サービスの中で、自社のポイントサービスの「dポイント」、クレジットカードの「dカード」、スマートフォン決済の「d払い」を使えるようにして経済圏の構築を急ぐ。