そのほかよくある誤解でいえば、「500万円かかるリフォーム費用を200万円に抑えた」という武勇伝です。

 資産数億円を持ち、100戸以上も所有する不動産投資家と、1棟目を購入したばかりの投資家が、同じだけのサービスを受けられると思いますか?常に入退去があり、保有している物件のメンテナンスや大規模修繕を定期的に発注している、いわば大口の顧客だからこそ、低コストでのリフォームが可能なのです。

 物事には、必ず理由があります。それが「その投資家だからこそ」「その時代だからこそ」といった特別な事情であれば、「再現性はない」と判断するのが賢明です。

 書籍の情報を信じ込んでしまい、「高すぎる投資基準で物件が買えない」「無理な指値をして相手にされない」「相見積もりをたくさんとって不毛な金額交渉を行う」そんな投資家が後を絶ちません。

 また、書籍はもちろん、ブログやSNSで情報を開示していても、すべてを話しているとは限りません。失敗談は隠して成功談だけを語っている可能性も多くあります。

 本当に真実を言っているのか、それとも誇張しているのか、嘘は言っていないけれど事実をすべて述べていない――それはよくあることなのです。

不労所得を誘う投資家セミナーは
じつは不動産業者のヒモつき?

 さて、本を出版して講演を行ったり、コンサルティングを行う有名投資家たちの発言には、いくつか共通したキラーワードがあります。

「不動産投資は不労所得です!」
「私のやり方を真似すれば必ず成功します!」
「サラリーマンを辞めてリタイアしました!」

 実はこの3つのキラーワードに、有名投資家たちの嘘が含まれているのです。それぞれ解説しましょう。

 有名投資家がセミナーなどでよく使うのは、「不動産投資は不労所得です!」という言葉です。

 不動産投資を始める目的として一番多いのが、この不労所得です。サラリーマンでありながら不動産で家賃収入を得て、やがては会社を辞めて不労所得で生活することを夢見る人がたくさんいます。不労所得=年金代わりという発想が近いかもしれません。

 しかし、不動産投資は決して「不労」ではありません。不労という響きは誤解を招きやすい言葉ですが、最近の新規参入者を見ていると、本当に何もせずお金が入るようなイメージが強くなっていると感じます。

 当たり前のことですが、手放しで安定的にお金が入ることはありません。円滑に運営するためのオペレーションを整えて管理していく作業があります。